賃貸物件探しの裏ワザ! オシャレでお得な<DIY型賃貸借>って?
ファイナンシャルフィールド / 2020年1月23日 2時50分
年が明け、とうとう令和も2年目を迎えました。春の入学・就職・転勤などに向けて、これから勉強や準備が佳境に入る方も多いと思います。 新生活を迎える方の大きなイベントの1つが引っ越し。マイホームの購入を検討したり、初めての一人暮らしや住み替えのため賃貸物件を探したり……条件に合う物件がなかなかみつからない場合など大変なことも多い家探しですが、今回は賃貸物件探しを検討の方に裏技をご紹介します。
賃貸物件でも自分でリフォームできるって本当?
賃貸のアパート、マンションの部屋は、入居時の状況(壁紙、トイレの設備等)を維持する必要があります。賃借人は部屋を使用していくなかで、通常の用法で使用していればどうしても生じる劣化(経年劣化)については責任を負いませんが、大家さんに無断で内装や設備を大幅に変えることはできません。
仮に、賃借人が勝手に賃貸物件の設備などを変えた場合は、賃貸借契約終了時に原状回復しなければなりません。
例えば、2DKの部屋の壁を取っ払って1LDKにするなど大掛かりな変更は当然、賃借人が自由に行うことはできません。また、トイレの便座を温水洗浄機能付きにする、壁紙を張り替えるなど比較的簡単な行為であっても、後々大家さんとトラブルになる可能性を回避するには、やはり無断で行うべきではありません。
しかし、賃貸でも自分好みの部屋に住みたいと思う方もいらっしゃるでしょう。ここで目をつけたいのがDIY賃貸借です。DIY賃貸借とは「借主(入居者)の意向を反映して住宅の改修を行うことができる賃貸借契約や賃貸物件」のことです。
このDIY賃貸借のポイントは、「賃借人は原則として原状回復義務を負わない」ということです。賃貸借契約で取り決めた範囲のDIYなら、退去時に元の状況に戻す必要はありません。
では、このDIY賃貸借の特徴を見ていきましょう。まず、大家さんの立場で考えると、きれいにリフォームして貸し出したいけれど、その費用と賃料のバランスが取れない、リフォームしていないから新たな借り手がみつからないという問題を抱えている大家さんもいます。
これに対して賃借人の立場で考えると、安い賃料で自分好みのオシャレで便利な間取りの部屋に住みたいというニーズがあるでしょう。例えば、DIY賃貸借なら、賃借人が次のようなことを自由に行うことができます。
・自由に棚を作る
・戸襖を撤去して間取りを変える
・キッチンやトイレの設備を変える
・壁・床・天井の素材を変える
・温水洗浄便座付きトイレを取り付ける
これらの費用を誰が負担するかは賃貸借契約で取り決めますが、DIY賃貸借であれば、自由にDIYできる代わりに、その費用は賃借人が負担することが多いでしょう。
壁のクロスの貼り替えは壁紙の値段にもよりますが、6畳間のクロス貼り替えを自分で行うのであれば、2万円前後の費用で済むこともあります。好きなデザインの壁紙にしたい場合は、DIY賃貸借もよいですね(業者に依頼する場合と自分でDIYする場合で、その費用は大きな差がありますのでご注意ください)。
また温水洗浄便座は、特にこだわりの機能がなければ1万5000円~3万円程度と、比較的リーズナブルな費用でトイレを快適な空間にできます(この額も取り付け工事を業者に依頼する場合や取り付ける機種によって変動)。
どちらにしても、契約時から設備が整ったオシャレな賃貸の部屋は、賃料もそれなりの額になりますから、賃貸物件を探している方は一見古く見える部屋でも、自分色に染めることができるDIY賃貸借を検討するのもよいでしょう。
空き家の救世主! 国もすすめるDIY賃貸借
ここまでご紹介したDIY賃貸借は、実は社会問題となっている空き家対策の1つでもあり、国土交通省が取り組んでいる賃貸住宅の流通促進の一環として位置付けることができます。
総務省による「平成30年住宅・土地統計調査」によると、居住世帯のない住宅のうち、空き家は848万9000戸でした。この空き家のうち432万7千戸が賃貸住宅であり、なんと空き家の約半数が、賃貸住宅といえます。
総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)は13.6%です。確かに賃貸住宅以外の空き家(相続で親が住まなくなった実家など)の問題も深刻ですが、賃貸住宅の空き家比率の高まりが非常に深刻であることが上記の調査結果から読み取ることができます。
この賃貸住宅の空き家率が高くなっている背景には、「新築住宅のニーズが高い」「供給過剰」などさまざまな問題が取りざたされており、築年数が相当経過した賃貸住宅を安い賃料(例:1K相場5万円を3万円の賃料で貸し出し)で供給することで、古い物件のオーナーは、空室率を少しでも下げることができる可能性があります。
空き室が多いと、建物の管理が行き届かず劣化にもつながります。以前は敬遠されていた賃借人によるリフォームを許す賃貸借契約であるDIY賃貸借も、空き物件の大家さんは検討するとよいでしょう。
まとめ
「空き家問題」という言葉は、折に触れ耳にしたことがある方も多いと思いますが、実際の空き家対策というと、どうしても相続税を含めて相続問題にのみ関心が行きがちです。確かに、古い実家が空き家になってしまったら、管理の問題や売却したいけれども買い手がつかないなど、悩みがつきません。
しかし、空き家を相続した方は、親が暮らした懐かしい家をDIYが可能な物件として貸し出すなど、工夫してみることも考えてみてはいかがでしょうか? また、オシャレな物件を求めて高めの賃料を払っていた方なら、DIY賃貸借を検討することで、家計が楽になる可能性があります。
さまざまなメディアで情報に触れた時は、多方向からアプローチして、豊かな暮らしにつなげていただければと思います。
(参考)
国土交通省「DIY型賃貸借に関する契約書式例とガイドブックについて」
国土交通省「DIY型賃貸借のすすめ」
総務省「平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 結果の概要」
執筆者:石井美和
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