深層韓国 与党は「李王朝型の政治文化」に没し敗北 韓国の国会議員選挙〝植物大統領〟に堕ちた尹錫悦氏でも…できることはある
zakzak by夕刊フジ / 2024年4月18日 6時30分
韓国の国会議員選挙(10日投開票)で、与党が前回2020年とほとんど同じ結果の敗北を期したのは、尹錫悦(ユン・ソンニョル)体制が、「朝鮮李王朝型の政治文化」に没していたためだ。「尹大統領は与党が敗北してから反省するのだろうか」と、選挙戦直前の本連載(3月27日発行)に書いた。その通りになった。
朝鮮李王朝は、主流派の廷臣(ていしん)が王を囲み、自分たちに都合が悪い情報が王の耳に入らないようにした。そうしたなかで、王の「お言葉」をもって、廷臣は反主流派を攻撃した。秀吉軍が攻めてきたときですら、彼らが気に入らない前線の司令官(典型が李舜臣=イ・スンシン=救国の英雄)らの追い落としに血道を上げた。
韓国の尹錫悦大統領は、側近が定めた「大統領と対面するときの5つの禁」をもって、好ましい情報しか耳に入らないようになっている。
「5つの禁」とは、「口答え」「聞き返し」「反論」「長い説明」「問題提起」の禁止だ(文化日報2023年12月12日)。
そうした中での大統領の発言(韓国メディアでは『尹心』という)をもって、側近は「従北左翼」と戦うより、前線の司令官(韓東勲=ハン・ドンフン=与党非常対策委員長)の足を引っ張って回った。
夫人の高級バッグ受け取り問題は、野党の格好の攻撃材料なのに、大統領はグズ対応を続けた。首席秘書官が左翼テレビ局の記者に向かって「刺し身包丁テロ事件を覚えているか」と暴言を吐いた際も、秘書官をかばい続けて、与党支持率の大暴落を招いた。
韓東勲氏が公認候補の出陣式で「ここで負けたら、尹政権は何一つ公約を実現できずに終わる」と悲壮な演説をした翌日になって、ようやく秘書官の辞意を受け入れた。が、もはや与党支持率は回復しなかった。
尹大統領は23年1月、朝鮮日報とのインタビューで「24年選挙で与党が多数を占めれば公約は問題なく実現できるが、多数が得られなければ〝植物大統領〟になる」と述べた。
24年選挙での勝利を展望して、それまでは臥薪嘗胆する心意気を語ったのだ。
それなのに彼は、李王朝型政治文化にのみ込まれ雲上人になり、〝植物大統領〟に堕ちたのだ。
しかし〝植物大統領〟とはいえ、韓国の大統領権限は大きい。外交は専権事項だし、国会のチェックを受けずに行える政策は多々ある。
反省したなら、3年後の大統領選挙で、自由陣営の候補が勝利できるよう手を尽くすべきだ。その大前提になるのは、李王朝型政治文化からの脱却だ。 (ジャーナリスト 室谷克実)
この記事に関連するニュース
-
韓国秘書室長に与党重鎮 尹大統領、国政刷新アピール
共同通信 / 2024年4月22日 12時35分
-
韓国総選挙、野党が過半数獲得 尹政権に打撃
ロイター / 2024年4月11日 8時26分
-
韓国総選挙、与党は劣勢 10日投開票、最後の訴え
共同通信 / 2024年4月9日 19時11分
-
韓国総選挙・与党大敗なら日韓関係にも悪影響 失政はないが人気もない尹錫悦大統領の存在
東洋経済オンライン / 2024年4月9日 12時0分
-
韓国総選挙「タマネギ男」政党の人気がなぜ高いのか 「法難」訴え曺国元法相の新政党が選挙戦の目玉に
東洋経済オンライン / 2024年4月7日 17時0分
ランキング
-
1シーク教徒殺害計画に印政府関与疑惑、米政府「深刻に受け止め」
ロイター / 2024年4月30日 15時40分
-
2妨害電波で「フィンエアー」が一部運休 ロシア関与の指摘も
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年4月30日 11時34分
-
3ガザ病院職員がICC検察官に証言、戦争犯罪の疑いで捜査
ロイター / 2024年4月30日 10時11分
-
4中国が対ロ「地下ルート」貿易決済、制裁逃れで苦肉の策
ロイター / 2024年4月30日 14時2分
-
5米でシーク教指導者“殺害計画” 関与疑われるインド「懸念すべき問題で政府の方針に反する」
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年4月30日 18時57分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください