人任せの高校選びは「痛い目に遭う」 推薦とれなくても…進路で優位に立つ“2軸”
Full-Count / 2024年4月3日 17時15分
■名門・高知高で甲子園9度の島田達二さんが助言…後悔しない高校選び
高知高を率いて春夏9度の甲子園に出場、2006年秋の明治神宮大会で優勝を果たした島田達二さんが2日、野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」が5夜連続で開催しているオンラインイベント「甲子園予備校」に出演。進路を考える中学生や保護者に対し、後悔しない高校の選び方などを指南した。
現在は東京ヴェルディ・バンバータのベースボールアカデミー統括ヘッドコーチとして、中学生世代への技術指導だけでなく、進路面のアドバイスも行っている島田さん。高校を選ぶ際のポイントとして「肌で感じる」ことの大切さを強調する。
「単純に野球が強いから行ってみたら、野球以外のところが何もなかったとか……。小学生や中学生のチームは変わっても大丈夫なんですけど、高校は簡単には変われない。選び方も慎重にやってほしいです」
高野連は選手の引き抜きを防ぐことを理由に、学校統廃合などのやむを得ない場合を除き、転校後1年間の公式戦出場を禁じている。わずか2年3カ月ほどの高校野球生活の中で、1年間も試合に出場できないのは、甲子園を目指す上で致命的なブランクとなる。だからこそ、ホームページなどネットの情報だけを鵜呑みにせず、しっかりと自分の目で見て、肌で感じることが重要だという。
「自分が行きたいなと思う高校の練習を何か所か見に行ってほしいです。練習を見ていると、そのチームが大事にしていること、選手と指導者がどんな距離感で話しているかとか、試合では見えないことが、いろいろと見えてくる。できればそこで選手の生の声が聞ければ一番ですね」
かつて島田氏が率いた高知高は昨秋の神宮大会、今春の選抜に出場【写真:田中健】
■高校選びは「自分で正解にしないといけない」
指導者の特色をしっかりと把握することも大切だ。投手を教えるのが好きな監督もいれば、打撃指導が得意な監督もいる。島田さんが率いた高知高は「守備を重視するチーム」だったという。仮に打撃が不得手でも、守備に秀でていれば、レギュラーとして試合に出場することも可能になる。できれば中学の早い段階から指導者に希望進路を伝え、積極的に動くことがおすすめだ。
学力も欠かすことはできない。仮にスポーツ推薦で入学することがかなわなくても、一般入試さえ突破すれば、受け入れてくれる野球部は多くある。野球と学力の「2軸」がしっかりしていれば、大学進学の際にも優位に働く。
「勉強をしていると自力でも高校や大学に行くことができます。“野球をしていたら行かせてくれるんだろう”的な考えでは、痛い目に遭います。最終的には人任せではなくて、自分の力で切り開いていけるようになっていってもらいたいです」
もちろん入った学校が自分のニーズを全て満たしてくれることは限らない。15歳にして、4000校近い高校の中から1校を選択することを迫られる。だからこそ、島田さんは「何が正解ではなくて、自分で正解にしないといけない。将来から逆算して、自分がどうしたいのかということを考えていかないといけません」と力説する。
これにはイベントのホスト役を務めた、全国制覇3度を誇る滋賀・多賀少年野球クラブの辻正人監督も「格言が出ましたね。選んだところを自分で切り開けっていう、凄いいい言葉です」とうなずいていた。(内田勝治 / Katsuharu Uchida)
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