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【JFA・キリン スマイルフィールド コーチインタビュー】水沼貴史「本当の気持ちでぶつかり合うからこそ感じるものがある」

ゲキサカ / 2016年3月13日 19時31分

子どもだけでなく
大人も笑顔にしたい

――これまでに印象的だった生徒はいますか?
「塩釜の学校の生徒で、サッカーが好きで上手いんだけど、やんちゃで言う事を聞かない子がいたんです。ボールフィーリングとか簡単なメニューだと、その子は一生懸命やらなくて、いざゲームになると1人でボールを持っちゃう。僕はわざと思い切り当たりに行ってその子からボールを奪って、ボールを取りに来させるんだけど全部弾いちゃう。何度も取りに来る根性はたいしたものだったけど。それで最後に僕がPKを蹴るから、GKをやりたい人って言ったら、やっぱりその子が立候補して。もしかしたらこれはキリン スマイルフィールドのルールに反するかもしれないですけど、思い切りシュートしました。でもその子は手を出して、ボールが手をかすめたんです。後で先生に聞いたら、その子はずっと手を触って『痛かったなあ』と言ってたと。プロのサッカー選手の本気の球を受けて、痛みで『すごい』と感じたと思うんですよ。本当の気持ちでぶつかり合うからこそ感じるものがあると思う。それは口で言っていてもわからない。自分のやり方としては間違っていないと思っているし、いま中学生くらいになっているはずだけど、どんなふうに成長しているのか楽しみなんですよね」

――ほかに印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
「岩手県にある学校の校長先生なんですけど、すごくサッカーが好きで、絶対に来てほしいといろいろな方面からアプローチしている先生がいると。いざ行くことになったら、手作りで『水沼先生ようこそ!』という垂れ幕をつくってくれたり、熱烈な歓迎を受けて、校長先生もとても喜んでくれて。その後、その校長先生は異動願いを出して、ブラジルの日本人学校に赴任になったんですけど、2014年のW杯のときに日本代表がその学校を訪問したんですよ。先生は先生で自分の夢を叶えることができたんです。心に痛みを持っているのは子どもたちだけじゃなくて、先生にもたくさんいるんだけど、それを自分の中に封印しながら子どもたちを指導している。キリン スマイルフィールドを通して、先生たちが『心から笑うことを思い出した』と仰ってくれるので、すごく嬉しいですね」

――4年以上コーチを続けられている中で、変化した部分はありますか?
「取り組む気持ちは変わっていないですけど、教室の内容はすべて変えています。場所、環境、季節、子どもたち……。環境が全く変わるので、同じことは絶対にできない、というのが僕の考え。だからこそ、僕自身も楽しい。一番気をつけているのは、オープニングなんです。最初に集合写真を撮るんですけど、緊張したままだと全然笑顔にならないんですよ。誰もが緊張しているので、僕は長めに会話的なアプローチをするようにしています。そうすると、みんなで写真を撮って、日本代表の選手と同じキリンさんの水を飲んで、『これから何が始まるだろう』という雰囲気になってくるんですよね。『日本代表の選手が飲んでる水だよ』と言うと、子どもたちはものすごく喜んでくれる(笑)」

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