今秋、FIFAマスターに入学する元なでしこ大滝麻未の“第2の挑戦”
ゲキサカ / 2016年8月3日 21時20分
サッカー選手を取材していて気付くことがある。Jリーガーでも、ヨーロッパをはじめとする海外組でも、25歳を過ぎたころからセカンドキャリアについての雑談が増えてくる。高卒なら7、8シーズン目、大卒なら4シーズン目あたりだろうか。肉体的、あるいはチーム内での立場の変化から、先々に思いをめぐらせる。20代半ばに引退後のことを意識し始める選手が多いようだ。
日本プロサッカー選手会(JPFA)などでは選手のセカンドキャリアに関する取り組みも行っているが、指導者として現場に残れるだろうか、それともメディアの立場でサッカーに関われるのだろうかなど、漠とした不安があるように感じる。
ただ、これはあくまで男子の場合。女子の場合はどうかといえば、話はなかなかそこまでも至らない。セカンドキャリアを議論する以前に、たとえ日本代表選手であってもさほど恵まれた待遇とは言えないというのが要因の一つだろう。現在、日本女子代表(なでしこジャパン)の監督を務める高倉麻子は、A代表で初の女性監督だ。女子サッカーの歴史が浅いことを考慮に入れても、引退したあともサッカーと関わり続けることがいかに難しいかが分かる。
それでも、新たな道を切り開こうとする者もいる。昨年5月、25歳で現役を引退した大滝麻未(27)は、この秋から国際サッカー連盟(FIFA)が運営するスポーツに関する大学院「FIFAマスター」に入学する。「“引退後にもこういう道があるよ”って少しでも知ってもらえたら」と話す大滝とパリで会った。
大滝が世間に知られるようになったのは早稲田大4年のときだった。ユニバーシアードでの活躍もあって、フランスの名門・リヨンから声がかかり、12年1月にトライアウトを経て入団。日本でフル代表の経験はなかったが、一気に欧州トップチームの一員となると、UEFA女子チャンピオンズリーグ決勝の舞台にも立ち、優勝まで果たした。なでしこジャパンが女子W杯初優勝を飾った翌年のことだった。
その年の夏、ロンドン五輪にサポートメンバーとして帯同。「光栄でもあり、悔しさもあった」というこの経験が、実は代表選手としてのキャリアのハイライト。12-13シーズンまでリヨンに所属し、その後、1年半は浦和レッズレディースでプレーした。14年12月、フランスに戻ってギャンガンでプレー。半年後の引退へと至る。
大学卒業後の選手生活はわずかに約3年半。25歳での引退を惜しむ声も多かった。だが、本人には何の未練もなかった。
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