湘南の練習で身に付けた「試合最終盤の動き」。注目アタッカー、FW新井光が後半ATに完璧アシスト
ゲキサカ / 2017年6月3日 23時11分
[6.3 全国高校総体長野県予選準決勝 市立長野高3-1 上田西高 長野Uスタジアム]
湘南ベルマーレ特別指定選手の市立長野高FW新井光(3年)が試合終了間際に魅せた。2-1で迎えた後半アディショナルタイム、敵陣でボールを持った新井は上田西高の選手の動きが一瞬止まったところを見逃さない。右サイドからDFラインの背後へ飛び出したFW山中麗央(3年)へ“文句なし”の完璧なスルーパスを通す。これでGKと1対1となった山中が左足でゴールを破って市立長野が決勝進出を決めた。
芦田徹監督が「ザ・新井光(のプレー)でしたね」と評した柔らかいタッチのスルーパス。新井は「ゴールに繋がるプレーを自分が求められているんで、最後、あれしかやっていないですけど、アシスト残せて良かったです」と微笑んだ。
このアシストは昨年11月から3度、4度と湘南の練習参加を重ねて身につけた力の証明だった。「きょうは最後にアシストできましたけれど、これは向こう(湘南)に行っていたから。湘南は運動量も多いんで、試合の最後の最後で(試合を決めるプレーができた)というのは湘南に行っているからだと思います」
対戦相手を上回る走力、試合終了まで諦めないで戦い続ける部分は「湘南スタイル」の代名詞の一部。新井は湘南で練習や練習試合を経験する中で、自分のプレースピード、判断スピードがまだまだ足りないことを痛感させられたという。そして、本人も「試合中とかも凄く走りますし、凄く良い経験になっていると思いますね」と口にする湘南のハードワーク。プロの選手たちの中で学び、磨いてきたことはまだまだ十分とは言えないが、高校トップレベルの試合で差を生み出す武器にもなっている。
それがこの日はラストプレーでのアシストに繋がった。また、本人は納得していなかったが、立ち上がりから彼がボールを持てば“何かが起きそうな”雰囲気が常にあった。スピードに乗ってボールを運ぶドリブルと、アタッキングゾーンでの仕掛け、テンポの速いパス、一瞬の動きでDFを振り切ってのシュート……。以前に比べて明らかにスピード感が増し、スケールアップを遂げた印象だ。
芦田監督に下がってボールを受けに行き過ぎている部分を指摘され、後半はよりゴールに近い位置でプレーし、決定的なシーンに絡んだ。ただし、無得点に終わったことを新井自身は本当に悔しがっていた。この日、欠いていたシュートの精度は自分の課題と認識している。湘南に練習参加するようになってよりこだわるようになったというゴール。それを4日の長野決勝では必ず決めてチームを全国へ導かなければならないと考えている。
「全国は注目されますし、湘南のコーチも見てくれていますし、自分がどれくらいできるかというのは見せたいですし、凄く活躍したいです」。選手権の出場がなく、まだまだ全国的には無名の存在。全国出場を決めて、憧れの舞台で活躍して、湘南サポーターや全国のサッカーファンたちにその存在を印象づける。
(取材・文 吉田太郎)●【特設】高校総体2017
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