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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:悲願(立教大学体育会サッカー部)

ゲキサカ / 2017年11月25日 19時26分

 11月19日。決戦の日がやってくる。相手は国際武道大。逆側のグループを首位で抜け出してきた難敵だ。「総監督にも『歴史を変えられるのは人生でそうそうないからチャンスだぞ』と言われていた」と小椋も明かしたように、立教大の歴史を塗り替えるためのゲームは、開始わずかに2分で動いた。4年生の黒田佳吾(正智深谷高)がコーナーキックを蹴ると、2年生の井浦智史(東久留米総合高)が合わせたヘディングは、そのままゴールネットを揺らす。湧き上がる紫の応援団。早くも立教大が1点のリードを奪う。

 前半は一進一退の展開が続き、1-0でハーフタイムへ。迎えた後半も拮抗した流れの中で、立教大にも数度の決定機が訪れたが、追加点を挙げるまでには至らない。後半39分に国際武道大が掴んだビッグチャンスも、立教大ディフェンスがゴールライン上で決死のクリア。時計の針は着々と進んでいく。

 そして、倉又も「もう絶対逃げ切れるなと思っていた」後半のアディショナルタイム。ほとんどラストプレーが予想された国際武道大のコーナーキック。青と白のユニフォームが混在するエリア内に、赤いユニフォームを着た選手が最後方から駆け上がる。キッカーが丁寧に蹴り込んだボールに“赤”が舞うと、頭に当てた軌道は右スミギリギリのゴールネットへ吸い込まれていく。土壇場で同点弾を記録したのは何と国際武道大のゴールキーパー。“山の神”を彷彿とさせるような信じられないゴールが生まれ、昇格決定戦は延長戦へともつれ込むことになった。

 奇跡的なシーンを目撃したスタンドは興奮とどよめきが収まらない。指導歴で言えば25年近い倉又でも「もちろん初めて」というゴールキーパーに許した失点。それが悲願達成目前のチームを襲ったとあれば、その心中は察して余りある。関根も「逃げ切れるかなと思ったのに、なかなか簡単には関東に上げさせてくれないんだな」と実感していたという。

 ただ、不思議とチームは、この局面で冷静さも持ち合わせていた。「『4年生とやれるのもあと30分だけなんだ』というのを考えたら、余計に『勝ちたい』と感じましたね」と話すのは2年生の佐藤大雅(光陵高)。小椋も「PKの練習も何度かしていたんですけど、あまりみんな得意じゃないので、『絶対に延長後半までに終わらせるぞ』というのはずっと言っていました」と振り返る。「最後は楽しんでやれ。入れられたのはしょうがないから、とにかく楽しんでやってこい」という倉又監督の声が選手を後押しする。このメンバーでサッカーができるのもあと30分だけ。白いユニフォームを纏ったイレブンは延長戦のピッチへ駆け出して行った。

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