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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:悲願(立教大学体育会サッカー部)

ゲキサカ / 2017年11月25日 19時26分

 延長前半9分。追い付いた勢いそのままに、国際武道大がゴールを奪い、逆転に成功する。「あの失点には心が折れ掛けました」と関根。ところが、立教の執念はその2分後に形となって現れた。黒田の左FKから、3年生の井上瑠寧(桐光学園高)が足を攣らせながら残した球体を、「当てるだけで良いボールを上げてくれたので、逆にアレは緊張しましたね」という小椋がヘディングでゴールへ流し込む。2-2。激闘のスコアは再び振り出しに引き戻される。

「みんな10何年と長い間サッカーをやってきて、その集大成として『残り何分できるか』と考えた時の気持ちの部分が、今日の試合の4年生にはあったはずなので、その4年生中心に最後はうまく引っ張れたのかなと思う」(小椋)。延長後半10分。左サイドを4年生の宮城良壽(那覇西高)が切り裂き、グラウンダーで入れたクロスはファーへ抜ける。「足も疲労が来ていて、ここぞという時に走れるためにちょっとパワーを残していたので、『そこにこぼれてくるかな』と思って走りました」という佐藤が蹴り込んだボールは、歓声と共にゴールネットへ到達した。

「時が止まった感じで、結構余韻があったんですけど、そこで声援が聞こえてきた」という佐藤が雄叫びと共に疾走を始めると、スタンドの選手たちもピッチまで駆け下りてくる。「誰が来ているのかわからなかったけど、本当に昂っちゃった」2年生ストライカーを中心にできた狂喜の輪。そこから慎重に、慎重に、時間を潰していく。一度あった相手の決定機は、1年生守護神の瀬尾光宏(三田学園高)が懸命に弾き出す。延長後半のアディショナルタイムは1分。ちょうど1年前。ほんの数十分前。もう同じ失敗は繰り返さない。最後の“残り1分”が様々な想いと共に消え去り、タイムアップを告げるホイッスルが150人の耳に届く。「劇的だよね。こんなのないよ」と笑ったのは倉又監督。壮絶な120分間を経て、立教大は“41年ぶり”の悲願を自らの力で手繰り寄せた。

「優しい"おじいちゃん"です(笑) だからこそ、たまに厳しいことを言われると響くというか、メリハリを持った方だと思います」と関根も笑顔で言及した倉又の手腕は語り落とせない。FC東京のトップチームやU-18、日本体育大でも監督を歴任してきた倉又が、立教大の指揮官として招聘されたのは2015年。その就任を意外と見る向きもあったが、「サッカー界ではどのチームを見ても変わらないと思うし、それはジュニアユースでもユースでも、大学でも変わらないと思う」というスタンスの彼にとって、指導の場に立てることは何よりの喜びでもある。健康面から最近は選手とボールを蹴る機会こそないものの、「今でも一緒になって混じってやりたいもんね。それが楽しいんだから」と話す表情に、“サッカー少年”のそれと大差はない。

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