『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』 :感謝(FC東京U-18・品田愛斗)
ゲキサカ / 2017年12月14日 12時10分
さらに長引くケガが彼を苦しめる。シーズンも佳境に入った昨年の11月中旬。その名前は公式戦のメンバーリストから消えた。共に優勝の懸かったJユースカップ決勝も、青森山田とのプレミアリーグ最終節も、ピッチ外からの観戦を余儀なくされる。ボールを蹴ることもままならない日々の辛さは察して余りあるが、そんな品田に2人のキーマンがヒントを与えてくれる。
年末に長野で開催されたJリーグインターナショナルカップ。1、2年生だけで臨んだその大会にも帯同せず、小平に残ってトレーニングをこなしていた品田に、ある人物が寄り添う。その人とは2016年までFC東京の育成部部長を務め、現在は城西国際大学のサッカー部を率いている福井哲。小学生時代から見続けてきた品田のその頃を「一言で言うと『真っ暗』」と表現した福井はこう続ける。「なかなか自分の本来持っているパフォーマンスも含めて、出し切れなかった部分がある中で、『そういう部分は誰にでもあるから、そこでどれだけ良い準備をして、次のステップを踏むか、という自分の心の強さが今は必要な時だから頑張りなさい』という話はしたんじゃないかな」。
もちろん品田もそのことは強く記憶に残っている。「自分の中で割り切っていた部分もありましたけど、なかなか元気に振る舞うことは難しかったと、今振り返れば思います。その中で福井さんにはいろいろな助けをもらっていたので、感謝の気持ちは大きかったですね」。また、福井は品田の母親から相談を受け、新たなリハビリの環境も紹介していた。それによって、ケガに対する知識が増えたことも、精神的な余裕の増幅に繋がる。自分のために奔走してくれた福井への感謝は尽きない。
もう1人のキーマンは言うまでもなく佐藤監督だ。新シーズンを迎えるに当たり、あえて厳しい言葉を投げ掛ける。「プライドを捨てて、本当に今年はサッカーに没頭して、自分の足りないものに向き合わなかったら、もしかしたら上もないかもしれないよ」と。さらに「本当に危機感を持ってやれば可能性は十分あるから、やっぱり『品田愛斗を1回捨てる勇気』も必要なんじゃないか」と。
経験豊富な指揮官には計算もあった。「賢いプレーヤーなのでいろいろなことに気付いてしまう、気付き過ぎてしまうがゆえに自分で“迷宮入り”することもありましたけど、それを見ていて、『自分で帰ってくることに意味があるんだろうな』という部分もありましたから。考えられない選手だったらすぐ『大丈夫か?』って行きますけど(笑)」。自らの可能性を信じてくれる2人のヒントを得て、品田はU-18で過ごす最後の1年間を歩み出す。
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