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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』 :感謝(FC東京U-18・品田愛斗)

ゲキサカ / 2017年12月14日 12時10分

 スコアレスで迎えた前半30分。左サイドでコーナーキックのチャンスを得る。キッカーは品田。「青森山田のウィークポイントを突こうという所で、原(大智)選手を相手のキーパーの前に立たせて、その頭を目掛けて蹴ろうと。でも、直接入っちゃったらラッキーみたいな感じ」で右足から繰り出した軌道は、そのままファーサイドのゴールネットへ吸い込まれる。その瞬間。いつもはクールな男が、渾身のガッツポーズと共に吠えた。

 衝撃的な先制弾は会場を大いに驚かせたが、観戦に訪れていた福井の感想はあっさりとしたものだ。「彼は中学の時からああいうコーナーキックやセットプレーで入れることはよくあったし、良い右足を持っているので、僕の中では特別凄いという程ではないですね」。本人もその言葉を引き取る。「ちょっと自分でも期待はしていました。何本か直接決めたこともありましたから」。ゴールの形より、この試合に懸ける想いの強さが自然と咆哮に繋がった。「自分も本当に得点は嬉しかったですし、みんなが駆け寄ってきた時もとにかく嬉しさが伝わってきました」。その後もお互いに点を取り合う熱戦は、3-2とFC東京U-18が1点をリードしたままで、タイムアップのホイッスルを聞いた。

 少しあってスタンドの一角が湧く。届いたのは小平の2チームと勝ち点1差で首位に立っていた清水エスパルスユース敗戦の報。奇跡は起きた。品田は優勝を手繰り寄せたことを知ると少しだけ泣いたという。「去年の最終節はケガでメンバーにも入れなかったんですけど、3年生の姿を見て『来年は自分たちが絶対勝たなきゃいけないな』と思って1年間やってきたので、今日は先輩も見に来てくれていた中で、本当に良い形が出せたと思います」。ピッチの外から見つめることしかできなかった1年前と同じ会場で、同じ相手を前に主役へ躍り出た品田の“シャー”とエンブレムを叩く姿が、彼の背景を知る青赤のサポーターの琴線を余計に揺さぶった。

「トップに上がるということを聞いた時には本当に嬉しかったし、彼は『家族を大切にしたい』という想いが一番強かったから、そういう意味では良かったですね」と話しながら、「プロになれたということは、ユニフォームを着た時から、今度はユニフォームを脱ぐ時のことを考えないといけないから、これからどれだけ長く安定してやれるかだけど、プロとしてもよりステップアップしてくれればなという想いはありますよね」と続けた言葉に、福井の品田へ対する小さくない期待が滲む。

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