甦ってきた伝統の堅守。耐えた“イチフナ”が首位・鹿島ユースを逆転で撃破!
ゲキサカ / 2018年10月8日 21時2分
[10.7 高円宮杯プレミアリーグEAST第15節 鹿島ユース 1-2 市立船橋高 鹿島G]
タイムアップの瞬間。キャプテンの岡井駿典(3年)が、決勝ゴールの田谷澪斗(3年)が、そして“古巣対決”の岸本駿朔(3年)が、次々に勝利の咆哮を鹿嶋の夜空へ轟かせる。「今日はサッカーの理屈だとか、戦術だとかという所を超えた『本当の戦い』で、それをここでできたのは大きいですね」と笑顔で話す朝岡隆蔵監督の声も嗄れ気味だ。今シーズンの高円宮杯プレミアリーグEASTを牽引し続けてきた首位・鹿島アントラーズユース(茨城)に、2敗目を突き付けた市立船橋高(千葉)。この日の彼らは『本当の戦い』をピッチ上で体現していた。
第14節終了時で12勝1分け1敗。驚異的なペースで勝ち点を積み上げ、プレミアEASTの首位を独走してきた鹿島ユース。11時にキックオフされたゲームで、2位の青森山田高が勝ったためにこの日の優勝はなくなったが、次節に青森で行われる直接対決で優勝を手繰り寄せるためにも、勝利が必要なホームゲームが今節。一方の市立船橋も5位には付けているものの、残り4節で降格圏とはまだ6ポイント差。また、高校選手権前の最後の公式戦でもあり、「相手も勝ちたい試合で、こっちも負けられない試合」(岡井)は少なくない観衆を集めてスタートする。
いきなりスコアは動く。前半4分。鹿島ユースの左FK。右の小沼樹輝(3年)、左の佐々木翔悟(3年)。プレミアを席巻してきた2人のプレースキッカーがスポットに立つと、蹴ったのは前者。インスイングのボールへ飛び込んだ赤塚ミカエル(3年)のヘディングが、ゴールネットへ吸い込まれる。「相手もセットプレーでの得点が8割以上ですし、本当に一瞬のスキの攻防だと思っていた」と岸本も警戒を露わにしていたにもかかわらず、得意のセットプレーでの先制点。早くもホームチームが“らしさ”を見せ付け、1点のリードを奪った。
22分は再び鹿島ユースにセットプレーのチャンス。エリア左での間接FK。キャプテンの前田泰良(3年)が小さく出し、小沼のスルーを経て、佐々木が上げたクロスに、佐藤隆曉(3年)が豪快なダイビングヘッド。軌道は枠の上に逸れたが、前節の清水エスパルスユース戦でも決勝ヘッドをねじ込んだセンターバックの決定機に、追加点の香りが漂う。
ところが、ワンチャンスで市立船橋が追い付いたのは35分。中盤アンカーの鈴木稀裕(3年)を起点に、鈴木唯人(2年)が右へスルーパス。マーカーに囲まれながら、佐藤圭祐(3年)がスライディングで流し込んだシュートがGKを破る。鹿島ユースは3試合ぶりの失点を喫し、スコアは1-1に。さらに41分には井上怜(3年)の浮き球に西堂久俊(3年)が抜け出し、折り返しに合わせた鈴木唯のシュートは枠を外れるも、市立船橋が一段階ギアを上げると、次の歓喜もアウェイチーム。
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