『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:“42+3”の責任(東京ヴェルディ・柴崎貴広)
ゲキサカ / 2018年12月11日 12時5分
東京のユースサッカーの魅力、注目ポイントや国内外サッカーのトピックなどを紹介するコラム、「SEVENDAYS FOOTBALLDAY」
今シーズンの終焉を告げる笛の音がヤマハスタジアムに鳴り響く。その瞬間。柴崎貴広はベンチのすぐ横で、ピッチに佇むチームメイトを見つめていた。J1昇格プレーオフを含めた“42+1”試合にフル出場した2017年と、J1参入プレーオフを含めた“42+3”試合に1分も出場することの叶わなかった2018年。「どっちも結局は苦しいんですけど、何だろうなあ… 逃げるタイミングはたくさんありましたし、手を抜くのも簡単なんです。でも、苦しいけどサッカーが好きだから、何でも頑張ってできちゃうのかなっていうのは、つくづく思いました」。改めて知った“試合に出る苦しみ”と“試合に出られない苦しみ”。緑のハートをたぎらせる36歳のサッカー人生は、それでもまだまだ続いていく。
2017年11月19日。今から1年前のJ2最終節。6位の東京ヴェルディは、5位の徳島ヴォルティスをホームの味の素スタジアムに迎え、J1昇格プレーオフ進出を懸けた大一番に挑む。そんなヴェルディのゴールマウスに立っていたのが柴崎。プロ17年目にして、初めてリーグ戦フルタイム出場を果たしたシーズンをあと“2試合”続けるために、最後尾からチームを盛り立てると、後半43分に内田達也が挙げた決勝点で劇的な白星をもぎ取り、ヴェルディは5位でプレーオフへの道を切り拓く。ただ、ベテランと呼ばれる領域に差し掛かった守護神は試合後も淡々と、飄々と、言葉を紡いでいた。
「日頃の練習の成果かなと思います」「もう勝つしかないので、勝ちだけを考えてやりたいなと思います」。端的に、短いフレーズが発されていく。だが、リーグ戦のフルタイム出場に話題が及んだ時、その熱量がわずかに変わる。「出れなかったら出れない苦しみもありますし、出たら出たなりの苦しみはありますけど、良い経験になりましたし、まずはプレーオフの2試合が終わってから振り返りたいと思います」。気になった後者の“苦しみ”について尋ねると、少し考えてから答えが返ってくる。「失点しただけで終わってしまう試合もありましたし、ファインプレーで流れを変えることがなかなかできない時期があったので、自分として『何もできていないな』というもどかしさもありましたし、それは本当に苦しかったですけど、最後に笑えればいいので、まずは次の試合を頑張りたいなと思います」。
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