『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:グリーン・ラプソディ(帝京長岡高)
ゲキサカ / 2019年1月10日 19時0分
東京のユースサッカーの魅力、注目ポイントや国内外サッカーのトピックなどを紹介するコラム、「SEVENDAYS FOOTBALLDAY」
グリーンのユニフォームを纏った選手たちが、長い影の伸びたグリーンの芝生へ崩れ落ちる。小さい頃から一緒にボールを蹴ってきた“仲間”とのラストステージへ、静かに幕が下りていく。キャプテンの小泉善人は前を見据えながら、自らの想いを口にした。「自分たちの代は中学校の時から『弱い弱い』と言われてきたので、反骨心というか、そういう沸々としたものを湧かしてきた3年生だと思います」。古沢徹監督も「頑張り屋さんの学年」と表現する、帝京長岡高の3年生たちが勝ち獲った全国ベスト8という立派な勲章は、常に抱えてきた“反骨心”と“意地”の結晶だった。
3年生はキャプテンの小泉善人、長渡彗汰、小池晴輝。2年生は吉田晴稀、谷内田哲平、晴山岬。大会を通じて不動だったスタメンには、6人の長岡ジュニアユースFC出身の選手が名前を連ねる。「ずっと一緒なので、もう家族みたいな感じですし、仲間を通り越して、もっともっと良い関係になっていると思います」と“後輩”の晴山が笑えば、「ずっと一緒にやってきているので、そこで敬語とか使われても逆に気持ち悪いです(笑)」とは“先輩”の長渡。彼らを包む雰囲気は、少しチームを観察していればすぐにわかる。
「やっぱり中学年代に(長岡)JYがあって、上下関係はそこからないので、高校に入ってきてからも、そういう流れにJY以外の選手も乗っかってくる感じです」(小泉)。彼らの日常にはそのノリが端々に滲む。2回戦の試合後にターゲットとなったのは3年生の梨本夢斗。新潟市内のFC五十嵐ジュニアユースで中学時代を過ごした彼は、「新潟の方の高校に行こうかなと思っていたんですけど、ヨシヒトは中学の時に県トレセンで一緒にやっていて仲が良かったですし、『ここに来れば全国大会に出られるかな』と思って来ました」と電車通学を決断した選手だ。
大会史上最長となる19人目までもつれた旭川実高とのPK戦。4人目で登場した梨本のキックは、相手GKにストップされてしまう。再び回ってきた15人目ではきっちり成功させたものの、チームメイトが“4人目”の失敗を見逃すはずもない。ミックスゾーンで梨本に話を聞いていると、つかつかと近付いてきたのは“JYコンビ”。長渡が無表情でマイクに見立てた右手を突き付ければ、谷内田は「俺らのおかげで負けなかったんだからな」とニヤリ。これには梨本も「ナガトは同級生ですけど、テッペイは一応後輩です(笑) 上下関係はまったくないですね」と苦笑い。学年を超えた仲の良さは、この一連からも十分に窺えた。
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