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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:誇りを胸に(流通経済大柏高・吉田俊輔)

ゲキサカ / 2019年1月18日 20時22分

(写真協力=高校サッカー年鑑)

東京のユースサッカーの魅力、注目ポイントや国内外サッカーのトピックなどを紹介するコラム、「SEVENDAYS FOOTBALLDAY」

 涙は出なかった。それはもちろん悔しかったけど、メチャクチャ楽しかったし、アイツらで勝てなかったら仕方ない。あとは、やっぱりキャラ的にも自分が泣くのはちょっと違うかなって思っていたから。「最前列で一緒に頑張ってきたヤツらの戦っている所を見れたし、最後の最後まで自分たちも一緒に練習できたので、それは本当に感謝しかないし、結果は準優勝でしたけど、『頑張って良かったな』という想いはあります」。負けたばかりの仲間たちが、俯きながら自分たちの下に歩いてくる。スタンドを染める鮮やかな赤。流通経済大柏高の応援を束ねてきた吉田俊輔は、最後の挨拶に向けてゆっくりと座席から立ち上がった。

 1月13日。青森山田高との決戦を翌日に控えた流経大柏のトップチームは、慣れ親しんだいつものグラウンドで練習を開始する。少なくない報道陣や関係者の視線がフルコートのピッチに注がれる一方、柵を隔てたすぐ隣の小さなスペースでは、嬌声に溢れたミニゲームが繰り広げられていた。ボールを蹴っていたのは全員が3年生。その中でも一際騒いでいる姿が目に留まる。「黙ってられないんですよ。すぐ口を開いちゃう空気の読めないヤツです(笑)」。そう自己分析するのは吉田俊輔。流経大柏の応援団長を託されている、チームきってのムードメーカーだ。

「アイツが1つの輪の中に加わったら、本当にその輪が明るくなるというか、影響力がかなり大きいので、あのキャラクターは流経にとって大きな役割を果たしてくれていますね」とはキャプテンを務める左部開斗。その言葉の意味は、吉田を目で追っていれば短い時間でもすぐに理解できる。「キャプテンとかもやったことないし、副キャプテンもやったことないくらいなので、全然リーダーとしての素質はないと思うんですけど、うるさいんでみんなの中心みたいに見えちゃうだけだと思います。いろいろ怒られるのも中心になるのは俺みたいな感じですし」と笑わせてくれるナイスキャラ。だが、自らの“応援団長”と称される役割を受け入れるまでには、さまざまな過程があった。

 高校最後の1年はケガの連続からスタートする。「まずはふくらはぎの筋挫傷で1か月休んだんですよ。それで復帰した日に右足の第5中足骨を折っちゃって手術して、そこからずっとリハビリをしていました」。練習のピッチに立てない日々が重なる中で、試合でも応援席が定位置になっていく。「プレミアが開幕した頃は、ケガ人だった(関川)郁万が中心になって応援をやってくれていたんですけど、『どうせコイツは復帰したら試合に出るから、俺がやるんだろうな』とは思っていました(笑)」とぶっちゃける吉田。自然と応援の音頭を取るようになっていったが、意識としては「『じゃあオレやるわ』みたいな感じ」だったという。

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