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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:ヒーローは遅れてやってくる(青森山田高・小松慧)

ゲキサカ / 2019年1月26日 17時55分

 少し雲行きが怪しくなり始めた1試合だった。4月の調布。高円宮杯プレミアリーグEAST開幕戦。FC東京U-15深川出身の彼にとっては、「気持ちは自分が一番入っていたと思います」と言い切る“古巣対決”。絶対に負けたくない因縁の一戦で、プレミアデビューとなるピッチへスタメンで解き放たれる。

 1点をリードして迎えた前半アディショナルタイム。13番に絶好の得点機会が到来する。檀崎竜孔が蹴ったFKに、長身の三國ケネディエブスが競り勝ち、ルーズボールが目の前に現れる。ゴールまでの距離は約1メートル。押し込むだけに見えた超決定機に、しかしヘディングは枠を外れてしまう。

 チームは前年王者のFC東京U-18に4-0で快勝を収めたものの、特別な相手との、特別なゲームで掴み損ねた結果。「やっぱりフォワードは点を取ってナンボだと思いますし、点を取らないと需要がなくなっちゃうので、しっかり点を取れる選手になりたいと思います」。試合後に語った言葉は、以降の自身に少しずつ実感として跳ね返ってくる。

 チャンスは来る。だが、シュートが入らない。プレミアでは無得点のまま、総体予選明けからスタメンを明け渡す。2枚目。3枚目。5枚目。試合ごとに交替カードとしての序列も下がっていく。夏の全国総体は17人の登録メンバーに選ばれたが、立ち位置はベンチの3番手ぐらい。チームも2回戦で昌平高に逆転負けを喫し、早々と敗退を強いられる。

 ベンチメンバーという立場に葛藤があった。「本当はゴールを獲りたいけど、試合展開では我慢しなくてはいけないし、『キープする時間が必要だ』とか、いろいろな条件提示がなされていたので、試合に出られることは嬉しいですけど、それがメチャクチャ悔しかったんです」。ところが、全国総体のショッキングな敗戦で決意が固まった。「『もうそんなこと言ってられねえな』って。『自分がサブでも何でも、試合に出てやってやればいいんだ』って割り切った気持ちになれたんです」。

 9月の富山(対富山一高)。1人目の交替選手として送り出されると、後半43分にとうとうプレミア初得点を叩き出す。さらにアディショナルタイムにもゴールを追加し、途中出場で1試合2得点の活躍を披露。整理されつつあった自身の役割が、チームに結果で還元される。それでも、やらかす時はやらかしてしまう。やはりプレミアのホームゲーム。柏レイソルU-18戦では、残り4分で投入されると、流し込むだけの決定的なシーンを掴んだが、シュートは枠を逸れていく。「みんな凄く応援してくれていて、あのシュートを外した時もみんな肩を落としてましたね」とは本人。チーム屈指の愛されキャラ。みんながゴールを期待してくれる。

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