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ドーハの悲劇、ジョホールバルの歓喜、W杯日韓共催…今、明かされる平成サッカー史の舞台裏

ゲキサカ / 2019年4月15日 14時38分

―FIFAとしてはW杯の拡大は既定路線だったのでしょうか。
小倉 今のインファンティノ会長になってからはそういう方向性ですね。FIFAに加盟している国と地域は211。そのうちの48チームと考えれば、十分に現実的な大会だと現在の執行部は考えているのでしょう。UEFAは加盟55協会で、欧州選手権(EURO)には2016年大会から24か国が出場しています。もちろん、参加国が増えることによって大会の質が下がるのではないかという議論もあります。アジアカップも2019年大会から出場国が16から24に増え、当初はそうした懸念の声もありましたが、終わってみればベトナムやタイ、キルギスの躍進、健闘が際立つ大会となりました。ですから出場国を増やすことが一概に悪いことだとは言い切れない。全体の底上げ、レベルアップにつながるという見方もできるはずです。

 いずれにせよ、FIFAには本当の意味で世界規模の大会というのはW杯しかありません。一方でUEFAには欧州選手権もUEFAチャンピオンズリーグもあります。ナショナルチームとクラブチームでそれぞれ世界最高峰の大会があるんです。すでにFIFAは十分すぎる収入を得ていると思いますが、UEFAと比較すると、そういう側面もある。なのでW杯だけでなく、クラブW杯も2021年から拡大し、24チームが参加することを今年3月の評議会で承認しましたが、これには欧州のクラブが公然と反対しています。FIFAからすれば、まずはW杯を、というところでしょう。

FIFA会長も興奮して叫んだ
なでしこジャパンのW杯優勝
2011(平成23)年の女子W杯でなでしこジャパンが世界一に輝いた
“ 米国対なでしこの決勝戦、ブラッター会長は私を前の席に座らせた。そして「今日はいけるぞ」「日本が勝つよ」と私にささやく。ところが、試合は立ち上がりから米国ペース。すると会長は「準決勝の日本と全然違う。どうなっているんだ!」とまたまたおかんむり。ところが、25分くらいから日本のエンジンが掛かり出すと途端に機嫌が良くなり、隣にアベランジェ前会長がいてもお構いなしに「GO! GO!」と騒ぎだした。
 そんな調子だから、最後にPK戦で優勝が決まったときは「今日はオグラの日だ」と抱きつかんばかりに喜んだ。他の理事たちも「カップはオグラが渡せばいい」などと口にしては祝福してくれた。
 驚いたのは後日、米国のニューヨーク・タイムズやワシントン・ポスト1面にまで、なでしこの勝利をたたえる記事が載ったことだ。知り合いの外務省のお役人も「すごいことですよ。日本の首相が訪米しても、こんな扱いされませんよ」と連絡してくれた。
 試合の中身が素晴らしかった。米国とのファイナルも含めて、佐々木則夫監督に率いられた選手たちは、クレバーなサッカーをやり続けた。それまでの女子サッカーの標準だったパワーとスピードの世界に「巧緻性」を持ち込んだというか。前年の男子のW杯南アフリカ大会でスペインが悲願の優勝を遂げた後だったこともあり、なでしこのスタイルは「女性版スペインのようであり、バルセロナのようだ」とたたえられた。北京五輪で悔しがっていたブラッター会長は「女子サッカーに革命を起こした」とまで言ってくれた。”
(『「平成日本サッカー」秘史 熱狂と歓喜はこうして生まれた』第六章 2011年 女子W杯ドイツ大会なでしこ優勝より)

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