ドーハの悲劇、ジョホールバルの歓喜、W杯日韓共催…今、明かされる平成サッカー史の舞台裏
ゲキサカ / 2019年4月15日 14時38分
―日本は2050年までにもう一度W杯を開催することを目指していますが、単独ではなく、共催も考えていかないといけないんでしょうか。
小倉 考えないとダメなんだろうなと思いますね。しかし、現在のように日韓関係が冷え込んでいる状況では不可能でしょう。北朝鮮も同じです。そう簡単にはいかないし、今後相当に考えていく必要があると思います。2050年なんて遠い先のようで、あっという間に来る。なかなか男子のW杯招致は難しいかもしれませんが、女子W杯の開催は2050年までに実現できると思いますし、実現しなければいけないと思います。
―日本は2023年に行われる女子W杯の開催国に立候補していますが、日本のほか、アルゼンチン、オーストラリア、ボリビア、ブラジル、コロンビア、韓国、ニュージーランド、南アフリカと過去最多の9か国が開催意思を表明しています。開催地は来年3月に決まりますが、激戦になりそうですね。
小倉 最大のライバルは韓国でしょう。韓国の提案書は北朝鮮との共同開催の可能性にも触れています。その点がどう受け止められるか。女子W杯は第1回大会と第5回大会が中国開催で、直近の3大会は欧州と北米。そろそろアジアに戻ってきてもいいと思いますし、立候補している中で唯一、チャンピオンになったことのある国が日本なんです。
今秋にも始まるカタールW杯予選
3か国共催ならアジア枠はどうなる?
森保ジャパンの世代交代を象徴するMF堂安律、MF南野拓実、MF中島翔哉の“三銃士”
“ 日本代表が勝つために、ピッチの外で貢献できたことの一つに年齢詐称との闘いがある。アンダーエージの世界大会にFIFAもUEFAも力を入れているのに、日本はなかなか出場できない。なぜ? 日本の弱さに原因もあったが、端的に相手の年齢詐称にやられるケースもあった。
アンダーエージのアジア選手権は各国の選手団が一つのホテルに呉越同舟で泊まる。そうすると16歳以下、19歳以下の大会なのに、どうみても「おっさん」にしか見えない選手がいる。
日本の監督や選手から「ホテルでご飯を食べていたら中東の選手に子供が何人も写っている写真を見せられた」と報告を受けたりした。ある大会で泣いて訴える選手に当時、U-16代表の監督だった田嶋幸三(現JFA会長)は「生きていく上で世の中には不条理なことがたくさんある。ここは我慢しろ」と諭すしかなかったそうだ。
さすがにこれは看過できない。それでアジアサッカー連盟(AFC)の中で議論を重ねていたところ、マレーシアの裁判所がレントゲン検査で成人かどうかを判断しているという話を聞かされた。最初はその線で行こうとしたが、FIFAに持ち込んだら健常者にレントゲン検査をするのは米国や欧州が絶対に納得しないと却下された。そこから選手の骨年齢をMRIで測定し、年齢詐称を見抜く検査を導入するようにした。今ではアンダーエージのFIFAのあらゆる大会に採用されている。「宗教的にそのような検査は受けられない」と反対する国もあったが、ゲームの公正さを保つためだと押し切った。アンダーエージの大会で日本がアジアの壁を越えられるようになったのは、この検査導入の後である。”
(『「平成日本サッカー」秘史 熱狂と歓喜はこうして生まれた』第八章 黒いワールドカップ FIFAスキャンダルより)
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