『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:光の射す方へ(関東一高・佐藤誠也)
ゲキサカ / 2019年5月15日 19時50分
東京のユースサッカーの魅力、注目ポイントや国内外サッカーのトピックなどを紹介するコラム、「SEVENDAYS FOOTBALLDAY」
暗闇の中を彷徨っているかのように思えた時間は、あるいは自ら目を閉じていただけなのかもしれない。確かに差し込みつつある光を、もっとハッキリと、もっとしっかりと手繰り寄せたい感覚もある。「輝けない時期がずっとあって、徐々にポジションも奪われて、『このまま落ちてっちゃうのかな』って焦りはあったんですけど、『自分が最後はやってやるんだ』みたいな気持ちは常に持っていたので、これからのし上がっていこうと思っています」。佐藤誠也が再び瞼の裏側に感じた光の射す方には、きっとさらなる新しい自分が待っている。
3月12日。T1(東京都1部)リーグ開幕戦。関東一高にとって年が明けて最初の公式戦は、開始早々から駒澤大高の圧力に押し込まれ続ける展開に。10番を背負い、右サイドバックを任された佐藤誠也も、前半で負傷した影響もあってか精彩を欠く。後半も流れを変えることができず、シュートすらほとんど打てないままに、2点を奪われての完敗。佐藤も後半30分には交替を命じられ、虚ろな表情でピッチを後にする。
小野貴裕監督も「今日は右が完全に機能不全でした。もう佐藤がゲームを壊しちゃったので」と手厳しい評価。そのことは本人が一番よくわかっていた。あんなに楽しかったはずのサッカーも、なかなか楽しむことができない。「どうしてこうなった?」「いつからこうなった?」。まるで迷路に迷い込んだような日々の中で、佐藤はもがいていた。
その登場はセンセーショナルだった。都内屈指の強豪校という立ち位置を確立した関東一において、1年生ながら夏前から少しずつ出場機会を伸ばしていくと、一躍脚光を浴びたのは宮城での全国総体。17人のメンバーに入ったルーキーを、指揮官は4強を懸けた準々決勝の市立船橋高戦でスタメンに指名。試合は1-2で敗れたものの、強烈なミドルでチーム唯一のゴールを叩き出した佐藤の名前は、多くの人の知られる所となっていく。
以降も2年連続となる東京の選手権予選制覇をチームと共に勝ち獲ると、駒沢陸上競技場で行われた開幕戦でも途中出場でピッチに解き放たれ、冬の全国の舞台も経験。既にセットプレーのキッカーも任されるなど、首脳陣からの信頼も自身のパフォーマンスも申し分なく、2年生となる翌年度は主力を担うものだと周囲は疑っていなかったように記憶している。
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