『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:凱旋(ベガルタ仙台・照山颯人)
ゲキサカ / 2019年5月30日 20時7分
東京のユースサッカーの魅力、注目ポイントや国内外サッカーのトピックなどを紹介するコラム、「SEVENDAYS FOOTBALLDAY」
かつては毎日のように通い続けたグラウンドの横にある、憧れていた華やかな舞台。そのピッチにプロサッカー選手として初めて立ち、照山颯人は過去と未来の不思議な交錯を改めて実感していた。「自分が中学時代に育った場所で、目標だった場所でプレーできるということは本当に嬉しかったですし、応援の熱さも自分は知っていたので、それを肌で体感できたのは良い経験になりました」。柏発、東鷲宮経由、仙台行き。自らの進む道を、自らの足で切り拓いてきた18歳の青年は、これから向かうべき方向を煌々と照らすために必要なモノを、きっともうハッキリと手にし始めている。
5月22日。ルヴァンカップのグループステージ最終節。ベガルタ仙台は柏レイソルのアウェイ、三協フロンテア柏スタジアムへ乗り込む。既にプレーオフステージ進出を決めているベガルタに対し、レイソルは敗退が決定済み。傍から見ればいわゆる“消化試合”のような90分間だが、ベガルタに高卒ルーキーとして加入した照山颯人にとっては、ずっと楽しみにしていた90分間だった。
ここまでのグループステージ全5試合に先発出場していた照山は、このゲームもスタメン表に名前を書き込まれる。ポジションは本職のセンターバックではなく、左サイドバック。そのポテンシャルを高く評価している渡邉晋監督が、「おそらく彼にとっては難しいポジションだと思いますし、彼の良さはもしかしたら半減してしまうかもしれない。それでも泣き言を言わずに、一生懸命前向きに取り組んでくれていることがものすごく嬉しい」と言及すれば、本人も「与えられたポジションでチームに貢献することが絶対大事になってきますし、いろいろなポジションをやれた方が監督としても今後の使う幅も増えると思うので」と意に介さない。
試合前の整列へ向かうと、すぐ横に杉井颯が並ぶ。レイソルの下部組織でU-15、U-18と順調に成長を続け、トップチーム昇格を果たした杉井にとっては、これがプロデビュー戦。ただ、緊張しないタイプだという杉井と照山が楽しそうに談笑する姿が、スコアボードのビジョンに浮かび上がる。「『オマエ、左サイドバックっしょ?上がっちゃえよ』『いやいや、上がれないでしょ』みたいな話をしていました」と笑った杉井は、こう続ける。
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