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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:師資相承(関西大一高・芝中信雄監督)

ゲキサカ / 2019年6月18日 20時35分

「私は自分のことを“監督”と言いませんから」。おもむろに語った芝中の“呼称”にまつわるこだわりも興味深い。「選手は僕を“監督”って言いますけど、自分では言いません。僕の中での“監督”は佐野先生しかいないんですよ、だから、自分からは必ず『“顧問”の芝中です』と。自分が“監督”の器ではないことはわかっているから、そこは一線引いているというか。みんなが“監督”と言ってくれても、『いや、“監督”じゃないです。僕の中での“監督”は佐野だけです』と」。

 だからこそ、“顧問”として譲れない部分もある。「ウチは『人間のあとにサッカーだ』と。当たり前のことですけど、それができなければサッカーも伸びないと思いますし、佐野はそういう所にムチャクチャ厳しかったです。試合がやれているのも当たり前じゃなくて、競技関係者がいろいろなことをやってくださっているからだし、『常に感謝の気持ちを持って戦いなさい』と。それはもう佐野のそのままを引き継いでいます。だから、レギュラーであっても迷惑を掛けたら試合に出しませんし、公共の規則を守れなかったら出しません。そこだけは譲れないし、そこを許してしまったら『もうサッカーだけかい』ってなるのでね。僕は監督の前に教師なので、やっぱり人間としてこの子らをどうやって育てていくのかという、そこしかないですからね。そこはもう退けないです」。穏やかな口調の中に確固たる信念が滲む。その姿に佐野が彼を後継に指名した理由の一端を覗いた気がした。

 全国の抱負を尋ねられた芝中は、笑いながらこう答えてくれた。「沖縄に行って海で泳がしますわ(笑) 僕はサッカーだけはイヤですから。いろんなものに興味を持ったらいいんですから。試合がなかったら泳がします。もちろんサッカーも頑張りますよ」。7月。沖縄の澄み切った青い空と、透き通るような青い海が彼らを待っている。“先生”から引き継いだものを、“教え子”はピッチにぶつける。その積み重ねられた伝統は、きっといつの日も彼らのそばにあり、きっといつの日も彼らを護ってくれるはずだ。


■執筆者紹介:
土屋雅史
「(株)ジェイ・スポーツに勤務。群馬県立高崎高3年時にはインターハイで全国ベスト8に入り、大会優秀選手に選出。著書に「メッシはマラドーナを超えられるか」(亘崇詞氏との共著・中公新書ラクレ)。」
▼関連リンク
●【特設】高校総体2019
SEVENDAYS FOOTBALLDAY by 土屋雅史

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