『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:20年後の帰還(ヴィアティン三重・和波智広)
ゲキサカ / 2019年7月8日 22時17分
迎えた2019年。クラブは監督に経験豊富な上野展裕を、ヘッドコーチに地元出身の阪倉裕二を招聘し、コスモ石油サッカー部での指導経験を有する山本好彦がGMに就任。さらなるステップアップを狙うための陣容を整えると、天皇杯の三重県予選決勝では3年連続で苦杯を嘗めさせられていた鈴鹿アンリミテッドFCをPK戦の末に撃破し、5年ぶりの県制覇を達成。本大会の1回戦でも関西学院大学を延長戦で振り切って、ベルマーレへの挑戦権を手にいれた。
「オレンジを身に纏い この場所で魅せろ三重魂!」オレンジの一団が楽しそうに歌い、笑い、飛び跳ねる。7月3日。天皇杯2回戦。湘南ベルマーレのホームスタジアム、Shonan BMWスタジアム平塚の一角で、ヴィアティン三重のサポーターは今や遅しとキックオフを待ち侘びている。
選手紹介時に和波の名前がコールされると、サポーターが歌うチャントに、スタンドの逆側からも拍手が混ざり合う。ベンチスタートとなった和波はアップを終え、短くスタンドをグルリと眺めながら、ロッカールームへと姿を消していく。スタメンの11人が入場してきたタイミングで、打ち振られたのは光るオレンジのペンライト。メインスタンドの“片方”があっという間にヴィアティンカラーで染め抜かれる。「天皇杯でもこれだけ多くの人が来てくれるなんて、なかなか下のカテゴリーではないことですよね」と和波。大きな希望と期待と、ほんの少しの不安が溶け合う中、主審の試合開始を知らせるホイッスルが鳴り響く。
最初の衝撃は前半22分。和波と同じく2013年に現役復帰する形でヴィアティンへ加わった、三重出身の坂井将吾がとんでもないミドルをベルマーレゴールに叩き込む。沸騰するオレンジ。どよめきが収まらない。後半5分にもやはり三重出身の北野純也からパスを受け、坂井が2点目をマークすると、その8分後には森主麗司のシュートをGKが弾いた所に、またも坂井。驚愕のハットトリックが飛び出し、ヴィアティンのリードは3点に広がる。
上野監督は後半16分と19分に相次いでカードを切ったため、残りの交替枠は1つだけに。26分には相手のミスを見逃さず、北野もゴールを陥れてスコアは0-4に変わる。そして36分。とうとう最後の交替選手として、ピッチサイドに7番の姿が現れた。「僕が入る時には拮抗した状態とか、負けている状態とか、そういう流れかなとは思っていましたけど、監督の計らいなのか(笑)、ただ単に交替だったのかわからないですね」。コンサドーレ時代にアウェイゲームで訪れて以来。実に13年ぶりとなる“平塚競技場”のピッチに、和波が力強く駆け出していく。
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