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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:ミラクル・アゲイン(駿台学園高)

ゲキサカ / 2019年8月30日 19時41分

『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:ミラクル・アゲイン(駿台学園高)

東京のユースサッカーの魅力、注目ポイントや国内外サッカーのトピックなどを紹介するコラム、「SEVENDAYS FOOTBALLDAY」

 通常モードでおとなしく撮られた“1枚目”の後が真骨頂。それぞれが思い思いのポーズを決める“2枚目”が本番だ。もはや儀式となりつつある『2枚の集合写真』を、このメンバーであと何回撮れるだろうか。「去年はでき過ぎていた部分があったので、あの子たちもプレッシャーはあったと思いますし、何より僕が一番プレッシャーを感じているので。アハハハハ」。明るい指揮官の笑い声が8月の熱気と混じり合って溶ける。2度も崖っぷちから生還し、真夏のセンシュケンを潜り抜けた駿台学園高。彼らがここから挑むのは、先輩たちの“影”を颯爽と飛び越えていくための戦いでもある。

 4月3日。嵐のような風雨が過ぎ去ったグラウンドに、虚ろな顔が並ぶ。新チームになって初めての公式戦。T3(東京都3部)リーグの開幕戦に臨んだ駿台学園は、日大豊山高を相手になすすべなく3失点を献上。ゴールネットを揺らすこともできず、手痛い敗戦を突き付けられた。「ちょっと浮き足立っていたなと。ちょっとヒドいですね。ちょっとこの姿は見たことないです」。大森一仁監督の言葉にも珍しく動揺が窺える。

 2018年の駿台学園は、ある意味で“バズって”いた。関東大会予選は強豪を次々となぎ倒してファイナルへ。選手権予選でも西が丘の準決勝まで駆け上がり、最後は駒澤大高にPK戦で屈したものの、14年ぶりの都ベスト4という大きな成果を手にしてみせる。加えて話題になったのは、試合前の集合写真。それぞれが思い思いのポーズを決めて撮られる写真がSNSで拡散され、『都内屈指のお調子者集団』としてその名を知られるようになっていった。

 先輩たちが残した明確な結果と“集合写真”。一躍注目を集める格好となった新チームに、そのプレッシャーが圧し掛からないはずがない。「『上の代が結果を残したから自分たちも』という気持ちが最初はやっぱり強かったですね」と明かすのはキャプテンの村雲礼惟。ストライカーの三瓶航太は周囲からの視線の変化を実感する。「塾に行くと、講師や他の学校の生徒からも『今年の駿台はどうなの?』とか聞かれますし、そういう周りの目線はありますね」。

 そんな状況で迎えた初めての公式戦にもかかわらず、彼らを待っていたのは言い訳のしようがない完敗。「もしかしたら去年の子たちからのプレッシャーだとか、公式戦で緊張感があったとか、そうであって欲しいけど、次も同じようであれば、ウチの今年は“ずっとない”って思いますね」と話した大森監督は、「勝ち負けじゃなくて、『見ている人もやっている自分たちも充実感のある試合』をこっちは求めているので、今日の試合では何もないし、彼らがこの後でどう考えて、どう行動してくるかかなとは思っています」と続ける。2019年の駿台学園は、屈辱的な黒星からスタートした。

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