1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. スポーツ
  4. サッカー

『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:真夏に咲いた桜の戴冠。日本一を手繰り寄せた3年生の努力と献身(セレッソ大阪U-18)

ゲキサカ / 2022年8月5日 7時42分

 タイムアップの瞬間。一番最後に投入された男は、ピッチ上の誰よりも大きな声で勝利の雄叫びを上げる。MF若野来成(3年)は満面の笑みを湛えていた。自他ともに認めるチーム屈指のムードメーカー。長野が「来成と翼がメチャクチャ盛り上げてくれるので、僕もそんなに喋る性格ではないんですけど、あの2人のおかげで気持ちも昂りました(笑)」と明かすのも頷けるような、個性的なキャラクターが微笑ましい。



「もうとにかく嬉しかったです。それしかなかったです。叫んだのは覚えています(笑)」と日本一を喜んだ若野だが、1年前は今後の身の振り方を真剣に考えていた。「去年の夏はホンマにこのチームで続けるのかどうか考えていて、お母さんや家族やチームメイトとも話をしていました。でも、『やっぱり自分はここで上手くなろう』と思って今があるので、あの時にやめていたらこんな景色も見えなかったですし、今より上手くなっていることはないかなと思います。3年生のみんなに救われました」。

 気の置けない仲間と切磋琢磨する時間を継続する選択が間違いではなかったと、今なら振り返ることができる。「チームは“通生”と“寮生”で分かれているんですけど、そんなの関係なく、今までのユースで一番仲がいいんじゃないかぐらい、ホンマに仲が良いですし、今回の大会でもっと距離が縮まったなと思います」。その雰囲気を醸成するのに、この34番の存在が大きな影響を及ぼしていることは、容易に想像できる。

 ただ、もちろん現状に満足する様子は微塵もない。「もちろん優勝は嬉しいんですけど、自分は出場時間が短かったので、悔しさもあります」と素直な気持ちも口にした若野は続けて、決して長くはなくなりつつあるこのチームで過ごす時間に対して、決意をきっぱりと語っている。

「日本一にはなりましたけど、ミーティングでは『目指しているところはここじゃない』とも言われていて、それも自分たちでわかっていますし、『世界に行くための通過点や』と考えていたので、僕自身もみんなも優勝では満足していないと思います。自分もプレミアの試合には全然出られていなくて、苦しんでいるんですけど、ここからは自分が試合に出て、プレミアでもチームを勝たせて、最後に優勝したいです」。最強のムードメーカーが試合で活躍することが、そしてチームがその力を得てさらなる爆発力を手にする日が、今から楽しみだ。

 残念ながら時間に限りがあり、話を聞くことの叶わなかった3年生の奮闘も書き記しておきたい。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください