『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:ピカピカの社会人1年生(桂陸人)
ゲキサカ / 2024年5月28日 19時6分
12月。桂に実戦復帰のチャンスがやってくる。「『Iリーグの全国大会出場を懸けた試合があるから、そっちに出てみてくれ』と言われて、練習もあまりしていなかったんですけど、そこで復帰しました。公式戦は1年ぶりでしたね」。仲間と勝利を目指し、グラウンドを走り回る時間が、ただただ楽しかった。
チームメイトたちへの感謝も語り落とせない。難しい状況にあった自分を、それぞれの形で見守ってくれていたことは、痛いほどよくわかっていた。「中学から一緒にやっていた山崎大地には状況を言っていたんですけど、みんな僕の現状を聞きにくそうでした。練習場に行ったら『珍しいな』となりますし、少しいてもすぐにいなくなりますし、心配はしてくれていたと思いますけど、実際は絡みにくかっただろうなって。でも、ゴハンに行ったりはしていたので、普通に接してくれていましたね」
「先輩も凄く優しく接してくれましたし、それこそ一緒にやっていたサンフレッチェの同期はもちろん、仙波大志くんや満田誠くんもちょくちょく連絡してくれていましたね。あとは(菅原)由勢たちも心配してくれていましたけど、やっぱりあまり聞いてこないというか、ちょっと聞きにくいんだろうなとは思いましたし、察して連絡をしてこないでくれている人もいましたね」。みんなの優しさは、ささくれ立っていた心にじわじわと沁みた。
その後も復帰と離脱を繰り返しながら、3年時の夏前には状態が安定し始め、継続してトレーニングへ取り組めることに。すると、古巣のサンフレッチェ広島から練習参加の要請が届く。とうとう巡ってきたチャンス。必死に食らい付くと、周囲の選手からも上々の評価を伝えられ、自分の中でも確かな自信が芽生えていく。
加えてこのころには教育実習で、青春の3年間を過ごした母校の吉田高校へ赴くことに。時間のある時にはユースの練習にも参加し、“後輩”たちとも交流を重ねる。「やっぱりサッカーで生きていきたい気持ちはずっとありましたね。病気になった初めの頃は『もうダメだ』とも思いましたけど、徐々に『身体づくりをしよう』とか『時間があるからこそいろいろなことをしよう』とか、ポジティブに捉えるしかないなと思って過ごしていましたし、目標や夢がちゃんと芯としてあったので、そこがブレることがなかったから、努力を続けていられたのかなと思います」。見えてきたプロサッカー選手への道筋。さまざまなモチベーションも自ずと高まっていったことは間違いない。
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