『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:自分の色(中央大・大野篤生)
ゲキサカ / 2024年8月12日 19時14分
それでも金茶の魂は諦めない。45+5分。左サイドをFW北浜琉星(2年)が駆け上がって中へ。FW持山匡佑(3年)の強烈なシュートはクロスバーを叩くも、詰めたDF岡崎大智(1年)が押し込んだボールはゴールネットへ到達する。それから程なくして吹き鳴らされたタイムアップのホイッスル。中央大はドラマチックに勝点3をかっさらう。
「“中大らしくない”感じではありますね。去年はこういうゲームをなかなかモノにできなかったんですけど、今年はより選手間のコミュニケーションを増やす場を設けることもやり始めたので、それが直接実を結んでいるというよりは、そういう機会の何気ない積み重ね、数値では測れない何かが積み重なった結果かなとは思います」。
いわゆる“マジメモード”で勝利の感想を口にするキャプテンに、少しだけ笑いそうになってしまう。その10分ぐらい前のこと。最後まで声援を送り続けた応援団の前で挨拶の音頭を取った大野は、仲間からの“アツキコール”に促されるがまま、コミカルな“勝利のダンス”を踊っていたからだ。
「あれがオレの真骨頂なので(笑)。中大のTikTokとかにも自分の動画がメッチャ上がっているんですけど、そこでも踊っていますし、一発芸もやっています。あとは毎年1年生の自己紹介というのがあるんですけど、自分は2年、3年、4年とその司会をやっていて、1年生がやる前に僕がやるというくだりもありますしね(笑)」。さりげないアピールも滑り込ませた笑顔は、4年前に見た時の印象と少し異なるものだった。
2020年、秋。前橋育英高の部長を務めていた大野は、松葉杖を突きながら試合のピッチに向かうチームメイトたちを笑顔で送り出していた。時はコロナ禍真っ只中。インターハイも中止になるなど、想像もしていなかったような高校ラストイヤーを過ごしていた中で、サッカーの神様は18歳へさらに過酷な試練を与える。9月に入り、ようやく開催されたシーズン初の公式戦で待っていたのは、左ヒザ半月板損傷という大ケガ。早期復帰は難しいというのが医師の診断だった。
「『何でオレなんだろう?』とはケガをした瞬間にメッチャ思いましたね。自分でも自負できるぐらいサッカーに関しては真面目に取り組んできましたし、部長としてもチームのことを考えたり、一生懸命やってきてはいたはずなので、『何でここでオレなんだろう?』という想いは凄くありました」。正直な気持ちを明かしてくれながら、さらに大野が続けた言葉は今でも強く記憶に残っている。
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