指導者2年目の“新米”高校教師、奮闘中。母校・水戸啓明のコーチに就任した元Jリーガーの金久保順が向き合う新たなサッカーとの関わり方
ゲキサカ / 2024年9月1日 18時24分
後半はお互いにチャンスを作りながら、次の1点は生まれず、結果は1-1のドロー。「時間が経つにつれて精度が落ちてくるのも事実なので、まだまだトレーニング不足かなと思います」(金久保コーチ)。残されたリーグ戦と高校選手権予選に向けて、チームはここからさらにアクセルを踏み込んでいく。
円陣を作る水戸啓明の選手たち
流通経済大学を卒業後、2010年にルーキーとして加入した大宮アルディージャを皮切りに、アビスパ福岡、川崎フロンターレ、ベガルタ仙台、京都サンガF.C.、水戸ホーリーホックと6クラブを渡り歩き、2022年シーズンを持ってプロキャリアに終止符を打った金久保コーチは、翌2023年から現役引退時のクラブとなった水戸のジュニアユース年代で指導者としての道を歩き出す。
「去年の経験はメチャクチャ生きていると思います。自分はプロサッカー選手と指導者は職業がまったく違うと思っているので、『もう一番下っ端だ』という意識でやっていたんですけど、周りの環境に恵まれたなと。大槻さん(大槻邦雄・水戸ジュニアユースコーチ)の存在も大きかったですし、いろいろなことをイチからしっかりと教えていただきました」。
だからこそ、そのオファーが届いた時は相当迷ったという。昨年12月。自らの母校でもある水戸啓明から、体育教師との兼任という形でサッカー部のコーチ就任の打診があったのだ。
「すぐにイエスとは言えなかったですね。最初は正直『どうしよう……』と思いました。ホーリーホックでも中2の子たちを担当していたので、その子たちが卒業するまでは見たいなと思っていましたし、サッカーだけではなくて教員という立場になると授業のことも出てきますから」。
信頼できる方々へ相談を繰り返し、1か月ほど熟考を重ねたのち、最後は自分で決断した。「一番は母校だったというのが自分の中では大きくて、他からのオファーだったらたぶんホーリーホックに残ったと思うんですけど、もう一度母校を鹿島学園さんや明秀日立さんの間に割って入れるようなチームにしたいと思っていますし、強いチームを任せられるより、自分でチームを強くしていきたい想いもあったので、ベストな選択かなと思って決断しました」。
役職としてはコーチという形だが、巻田清一監督からはチームの指揮を任される格好で、母校へと帰還。「週に14コマの授業もやっています。まず学期の初めがラジオ体操なんですけど、YouTubeでラジオ体操を見て、覚えるところから始めました(笑)。今はバレーボールを教えたり、テニスを教えたりしているんですけど、まあできないので、毎日手探りでやっています(笑)」。慣れない教師という職業にも体当たりで向き合っている。
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