『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:2つの覚悟(筑波大・加藤玄)
ゲキサカ / 2024年12月24日 12時15分
「そこで筑波に対する意識が芽生えたのは今でも鮮明に覚えています。そこからは『サッカーの推薦で筑波に行けなかったとしても、一般受験で進学できるように3年間準備しよう』と思って高校を選びました」。高校は県立の進学校に合格し、U-18での活動と並行して、学業にも注力。トップチームへの昇格が叶わなかった加藤は、当初の予定通りに筑波大の門を叩く。
だから、とにかく意外だった。憧れ続けた蹴球部の一員となり、絶対的な主力としてチームを牽引してきただけに、集大成となる4年生のシーズンは「キャプテンになって、筑波を日本一に導く」という入学時に立てた目標を叶えるための1年間を過ごすのだと、確信していたからだ。
「同期のみんなと大学4年目を楽しめないのは凄く寂しいですし、僕みたいなタイプって、チームに強い帰属意識があって、最後までみんなとやりきるんだろうなと思っていたので、正直これが正しかったのかなという想いはあります」。そんな加藤が自分でも想定外の道へと一歩踏み出した最大の理由は、フットボーラーとしての未来を熟考した末の覚悟だった。
「本気でここから自分がフットボーラーとして15年、20年と生きていくためには、自分からその決断をしに行く覚悟が必要だなって。ここでプロになるチャンスがあったのに選択しなかったことを後悔したくないですし、ここを逃すとプロサッカー選手になっても、大事な時間が漫然と流れていってしまうのかなという不安もあったので、『ここで自分が本気の覚悟を決めなきゃいけないな』というのは、最終的な決め手だったと思います」。
一方でユースを卒団したタイミングでは、加藤にとって名古屋への帰還は決して最優先事項ではなかったという。「実は高校を卒業する時には、必ずしも戻ってくるつもりはなかったですし、あくまでプレーヤーとして大きくなりたいとは思っていましたけど、正直グランパスに戻るためだけに大学の3年間を頑張ってきたわけではなかったです」。実際に複数のクラブから獲得オファーは届いており、“古巣”はあくまでも選択肢の1つという位置づけだった。
21歳の心を揺り動かしたのは、蹴球部の大先輩から送られた熱いメッセージだ。「名古屋の練習に参加した時に、(長谷川)健太さんから『グランパスの人間としてではなく、蹴球部の先輩として、美しいキャリアを歩んでほしいと思っている』と言われて、それはもう本当に『健太さんの元でプレーしたい』と思う一番の決め手だったと思えるぐらいに、ありがたい言葉でした」。
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