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水原一平氏も陥ったギャンブル依存症は、根源に「1次感情不全」あり…精神科医が指摘

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年4月2日 9時26分

 ドジャース・大谷翔平選手の元通訳、水原一平氏が告白したギャンブル依存症。「出来上がってしまった依存症は脳の病気でも、そこに至る病理は『1次感情不全』」と言うのは、東京歯科大学精神科准教授の宗未来医師だ。

「依存症は結果であって、原因ではない」

 宗医師は、ギャンブル依存症の患者にそう声を掛けているという。

「『これまで本音を押し殺して生きてきたのでは? 取り繕いを重ねる我慢の人生はさぞ大変だったでしょう』と続けると、一見好き勝手にやってきたと思われがちな方が、うなずきながら涙を流されるケースは珍しくありません」(宗医師=以下同)

 1次感情とは、「喜怒哀楽など動物にも共通する原始的な本音感情」を指す。一時的に強い苦痛を伴う感情も多いが、きちんと感じきれば自然に消退していく。

「しかし、厳格な家庭環境や親の期待が高すぎたり、本人の性格が繊細すぎると、傷つかないように本音の1次感情を抑圧し、そのことに麻痺してしまう。すると逆恨みや対人不信といった病的に膨らんだ2次感情が生じ、問題行動すら出現してくるのです」

 この2次感情は、1次感情から目を背けるために生まれた人工感情。自然には消えず、どんどんたまり続け、解消しない苦悩となっていく。

 一方、1次感情自体は麻痺しており、喜びや達成感といったプラス感情の感度も低下。日常のささやかな出来事には幸せを感じられず、強い快楽刺激をもたらす物質(アルコール、ドラッグなど)や、行動にのめり込みやすくなる。

「ギャンブルはその最たるもの。負の感情に向き合うことが苦手で、負けを認めて受け入れられない。さらにプライドの高さから、ギャンブルでは損切りができずに損失拡大の原因にもなります」

■脳が病的状態に陥る

 ギャンブルのような依存性の強い刺激ほど、のめり込みやすい。勝ち負けの繰り返しで、快楽を感じる脳内の報酬系が活性化し、快楽物質ドーパミンが大量に放出。ギャンブルでのドーパミン放出量は、ほかのどの依存行動よりも多いといわれるが、報酬系の鈍化で、よりハイリスク・ハイリターンの刺激を求めるようになっていく。

「こういった状態が進むと、ある段階から自力脱出が困難な脳の病的状態に陥ります。優先順位が狂い、大損しているのにやめられず、最終的には失職、離婚、友人を失う、借金、中には横領などの犯罪に手を染めるなど社会的に追い込まれる。その2割弱が自殺に至るとも報告されます」

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