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膝痛とオサラバ!治療最前線(1)軟骨がすり減る前に膝の半月板の損傷が始まる

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年4月23日 9時26分

・立ち上がりや歩き始めに膝が痛む
・休むと膝の痛みが治るが、歩き出すとまた痛い
・膝痛で階段がつらい
・膝痛で正座ができない

 年齢が上がるほど患者数が増える「変形性膝関節症」は、有病者数約2500万人、痛みを抱えながら薬などで抑えて暮らしている人は約800万人といわれる。

 冒頭に挙げた症状は、いずれも変形性膝関節症の初期から中期にかけての典型的な症状。末期になると安静時にも膝が痛く、変形が目立ち、膝を伸ばしての歩行が難しくなる。

「変形性膝関節症は、自転車のタイヤの空気が抜けていく様子をイメージしてもらえれば、理解しやすいのではないでしょうか」

 こう言うのは、順天堂大学医学部整形外科学講座・石島旨章主任教授。

 自転車のタイヤはパンクしない限り、使うごとに徐々に空気が抜けていく。すると、スピードが速くなったり段差があったりすると、お尻に衝撃がダイレクトに伝わり痛みが走る。

「タイヤに空気がいっぱい入った状態、つまり膝の軟骨が正常な状態では、地面からの衝撃を受け止めてクッションのような働きをするので痛みはありません。しかし加齢とともに膝の軟骨は少しずつすり減っていく。骨には神経が多数ありますから、衝撃が骨にダイレクトに伝わることで痛みを感じるようになるのです」(石島主任教授=以下同)

 それを避けるために歩行スピードが落ち、歩行距離、歩行時間が短くなっていく。すると筋肉が落ちて膝へさらに負担がかかるようになり、歩くことをより避けるようになる。フレイル(虚弱)やサルコペニア(加齢による身体機能・骨格筋量の低下)の始まりだ。一方、年を取ってもスタスタと速く歩ければ、生活習慣病、心臓疾患、認知症などに好影響を与え、健康寿命が延びることが複数の研究で明らかになっている。

「膝痛をはじめ運動器の痛みは、長らく『年を取れば当たり前』とされ、痛くなってからの対症療法的な治療が中心でした。しかし、痛みが生じるには原因があり、その原因を追求することで予防的な治療が可能となります。最近の研究で、軟骨がすり減る前に膝の半月板の損傷が起こっていることがわかってきた。そして私たちは順天堂大学のスポートロジーセンターとの共同研究で、半月板損傷の前に何が起こっているか、可視化することに成功しました」

 将来的には、変形性膝関節症の発症を回避できるようになるかもしれない――。 (つづく)

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