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膝痛とオサラバ!治療最前線(4)炎症の原因物質は進行に伴って減少し鎮痛剤が効きづらくなる

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年4月26日 9時26分

 変形性膝関節症と診断されたら、どんな治療があるのか?

「欠かせないのは運動療法です。特に、初期や中程度では有効性が高い。日本整形外科学会が行った全国調査でも、病院で処方する消炎鎮痛剤と同等かそれ以上の痛みを和らげる効果があると実証されています」(順天堂大学医学部整形外科学講座・石島旨章主任教授=以下同)

「膝が痛い↓かばって力を加えなくなる↓動けない↓安静にする↓筋肉が減る↓軟骨がすり減る↓膝が痛む」といった悪循環を運動療法が断ち切るのだ。

 痛みは変形性膝関節症進行のリスク因子なので、鎮痛剤の投与も重要。石島主任教授は国内の9大学20施設との共同研究で、日本で高い頻度で用いられる消炎鎮痛剤(非ステロイド性抗炎症薬=NSAIDs)とヒアルロン酸関節内注射が日常の診療でどの程度有効かを検証した。それによって痛みを軽減する効果があることを証明し、権威ある英文医学誌で発表している。

「一方、消炎鎮痛剤が効果を発揮する炎症の原因因子は、進行に伴い減少していくことも判明しました。痛みのシステムは初期と進行期では異なる(本連載3回目参照)。その場合、消炎鎮痛剤ではなく、弱オピオイド鎮痛薬など別の種類の鎮痛剤を用います」

 順天堂大は特定機能病院ということもあり、患者の大半は他の医療機関で治療を受けたものの症状が改善されなかった人たちだ。眠れないほど強い痛みが生じていても、レントゲン検査で初期と診断され、消炎鎮痛剤のみを処方されている患者も少なくない。

「正確に進行程度を評価するには、レントゲン検査は立った状態での撮影が重要です。しかしこれが一般クリニックでは難しい場合もある。また、レントゲンでは映らないものもあり、通常は行わないMRI検査も、必要に応じて取り入れます。レントゲン検査で初期であっても、MRIでは軟骨の下の骨に異常を認めるケースが多く、これが拡大する例では変形性膝関節症が進行しやすい。さらに、MRIであればレントゲンではわからない軟骨の質の変化も確認できます」

 最新技術を用いての総合的な診断で、痛みの原因を探り、“合う”鎮痛剤を選ぶ。手術には、関節鏡術、骨切り術、人工膝関節置換術、さらに人工膝関節置換術には部分置換、全置換があるが、変形性膝関節症の程度、病態、患者の年代や求めることによって、適しているものが異なる。どれを選び、どのタイミングで行うとベターか。それも総合的な診断で見いだしていく。そうやって、何歳になってもスタスタ歩ける“膝づくり”をしていくのだ。 (おわり)

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