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ドラマ「選挙の人々」は台湾での#MeToo運動のきっかけとなった(児玉愛子)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月4日 9時26分

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台湾の蔡英文前総統(C)中央通信社=共同

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  ◇  ◇  ◇

 韓国でMe Too運動が起きたのは2018年のこと。起爆剤となったのは次期大統領候補といわれていた安熙正(アン・ヒジョン)忠清南道知事の女性秘書による告発だった。知事から性的暴行を受けたとテレビで証言したのだ。まさに“フェミニスト大統領”を自任する文在寅(ムン・ジェイン)大統領の腹心の愚行に世間は呆れ返った。韓国#Me Tooの嵐が吹き荒れたのはこの直後からだ。

 それは政界のみならず、文学界や芸能界にまで波及。公の場から姿を消した俳優もいれば、自殺した俳優もいる。映画界ではキム・ギドク監督が追放され、国を離れる事態となった。監督はその後、異国の地でコロナに感染し、亡くなっている。2020年には当時の朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長にもセクハラ疑惑が浮上し、自殺した。

 そして昨年は台湾でもMe Too運動が起きた。台湾#Me Tooのきっかけは1本のドラマだった。昨年4月に配信がスタートしたネットフリックスオリジナルの台湾ドラマ「WAVE MAKERS~選挙の人々~」だ。

 台湾では今年1月に総統選挙を控えていたため、選挙キャンペーンの舞台裏を描いた政治ドラマはタイミングが良く、注目度も高かった。だが、このドラマがこれほど社会に大きな影響を与えようとは誰も思わなかっただろう。

■台湾の蔡英文前総統はすぐさま謝罪

「選挙の人々」は熱い選挙模様だけでなく、セクハラや性の問題も描いている。配信が始まると、翌月には与党の民主進歩党で働いていた女性スタッフが過去に受けたセクハラを告発した。蔡英文前総統(写真)はすぐさま謝罪し、ジェンダー平等法改革法案が提出された。

 この問題は野党にも飛び火し、その後は韓国と同じだ。ほぼ毎日のように芸能人や著名人の名前が上がり、自殺を図ったタレントがいれば、芸能界引退を発表した俳優もいる。

 2020年にNHKで放送された日台共同制作ドラマ「路(ルウ)~台湾エクスプレス~」で波瑠の相手役だった歌手で俳優のアーロン(炎亜綸)も台湾#Me Tooで告発された一人だ。被害を訴えたのは男性インフルエンサーだが、彼がまだ未成年の頃にアーロンから性暴力を受けた上、無断で動画を撮影されたというのだ。このインフルエンサーは記者会見を行ったが、その会見場に突然、アーロンが登場。涙ながらに謝罪したが、動揺するインフルエンサーの痛々しい姿も報道された。その後、アーロンは起訴されている。

 一連の出来事はなんとも生々しく、もはやドラマ「選挙の人々」が完全に置いていかれた感が否めない。 (つづく)

(児玉愛子/韓国コラムニスト)

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