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台湾エンタメは“巻き込み上手”で強くなった 作品のクオリティーが飛躍的にアップ(児玉愛子)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月3日 9時26分

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「オールド・フォックス11歳の選択」(C)2023 BIT PRODUCTION CO., LTD. ALL RIGHT RESERCED

【亜細亜エンタメ最前線リポート】#7

 台湾エンタメが強くなったワケ(2)

  ◇  ◇  ◇

 2020年に韓国映画「パラサイト 半地下の家族」が米アカデミー賞で4冠に輝き、ポン・ジュノ監督は記者会見でこう語った。

「我々は香港映画産業がどのように衰退していったか鮮明に記憶している。同じ道を歩まないよう、冒険を恐れず、挑戦し続けなければならない」

 それが今、韓国の投資家たちは映画の投資から手を引いている。冒険を恐れ、挑戦することをやめたのは、コロナ禍で映画館から遠のいた客足が戻らず、興行不振が続いているからだ。

 韓国ドラマ市場も危機に陥っている。制作費の高騰でドラマを制作すればするほど制作会社や放送局が大赤字に。そのせいで作品の本数も大幅に減っている。

 一方、コロナ禍に希望を見いだしたのが台湾だ。台湾エンタメ業界で多くの作品に携わっている木藤奈保子氏は当時の様子をこう語る。

「コロナ禍であろうと、良い作品を制作すれば世界中の人々に台湾エンタメを見てもらえるチャンスと捉えました。配信サービスの普及をうまく利用し、『台湾エンタメを世界に発信していこう』と舵を切ったんです」

 こうした勢いに乗り、飛躍的にクオリティーが上がったという台湾ドラマだが、その変化は「模仿犯」(全10話)を見れば分かる。それまでの台湾ドラマと違い、完成度の高いサスペンスに仕上がっているのだ。

 原作は宮部みゆきのベストセラー「模倣犯」で、02年には東宝により映画化され、16年にはテレビ東京がドラマ化している。映画版は原作ファンに嫌われ、ネット上で「駄作」とまで言われたが、そもそも連続殺人事件を描いた小説。映像化が難しいと思われていた。

 それから20年──、「模倣犯」は台湾ドラマ「模仿犯」として生まれ変わった。いざ配信がスタートすると、多くの視聴者をクギ付けにし、ついにはネットフリックスの非英語ドラマで世界第2位に入るという快挙を成し遂げたのだ。

 この勢いはドラマだけにとどまらない。5月には藤井道人監督による日台合作映画「青春18×2 君へと続く道」が、6月にはやはり台湾と日本の合作映画「オールド・フォックス 11歳の選択」が公開予定で、早くも関係者の間で話題になっている。木藤氏によれば、「台湾はいい意味で“巻き込み上手”。手を組んだ相手とより良い作品を生み出し、相乗効果も狙っています」という。

 親日といわれる台湾はかねて日本と相思相愛の仲だ。両国の関係は「愛の不時着」以上のラブストーリーになるのではないか。 =つづく

(児玉愛子/韓国コラムニスト)

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