元日劇ミュージックホールのトップダンサー吉元れい花さんは刺繍作家に 2年前には岡本太郎賞を受賞
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月22日 9時26分
元日劇ミュージックホールのトップダンサー、吉本れい花さん(提供写真)
【あの人は今こうしている】
吉元れい花さん
有楽町の日本劇場(日劇=現在のマリオン)にあった日劇ミュージックホール(NMH)は華やかなレビューショーで人気を博した。三島由紀夫や寺山修司、蜷川幸雄らが脚本・演出を手がけるなど大人のための娯楽施設だったが、再開発に伴い、1984年に閉鎖。NMHも解散した。ダイナミックなダンスとコケティッシュな魅力で後期NMHのトップダンサーだったのが吉元れい花さん(芸名=朝比奈れい花)だ。退団後、人気漫画家のバロン吉元氏との結婚を機に表舞台から引退した。れい花さんは今どうしているのか。
◇ ◇ ◇
「美術雑誌以外での取材を受けるのは40年ぶりかな」
都内のご自宅でお会いしたれい花さん、こう言ってほほ笑んだ。美術誌とはまたなぜ?
「実は結婚を機に刺繍を始めて、ずっと刺繍作家として活動してきたんです。それが、2年前に岡本太郎賞を受賞して、久しぶりに取材を受けまして」
賞は日本を代表する芸術家・岡本太郎を記念して次代のアーティストを顕彰するもので、578点の応募から入選24人の中の最高栄誉が岡本太郎賞。刺繍で選ばれたのは史上初だ。
「子どもの頃から細かい手仕事が苦手で、それがバロンさんとの結婚をきっかけに漫画の生原稿にトーンを貼る手伝いをしていたら、とても楽しくて。『私、こういう作業に向いてるかも』と気づいたんです。指定された範囲をトーンで地道に埋めていく……。トーンによって陰影が生まれる。今思えば、糸でイメージを描き出す刺繍につながる感覚がそこにはありました。ある時、『そうだ刺繍だ!』と天の啓示みたいに思い立って、まずは高名な刺繍家・植木良枝先生のもとで10年間勉強し、師範の免状を取りました。今は『麗花刺繍』を創始して、多様なひらめきを刺繍で表現する『楽繍会』を主宰しています」
岡本太郎賞に応募のきっかけは?
「2017年に病に倒れ入院したのですが、まだ寝たきりだった頃、岡本太郎さんの顔が突然頭に浮かび、『いのち』という言葉が頭の中にあふれたんです。ハッと起きたら目の前に『太陽の塔』がそびえ立っていて……。それまで岡本太郎さんのことを気に留めたことはありませんでした。生と死の境目でとても不思議な体験でした」
入院生活は長期に及んだものの、退院後は日常生活に戻ることができた。
「退院した日から刺繍を再開しましたが、病室での体験が気がかりで……。調べたら私も岡本太郎賞に応募できることが分かり、3回目のチャレンジで大賞。夢のようでしたが、今に至るまで、まさに病室での出来事通り、命と向き合う日々でした。岡本太郎さんの言葉や作品を通して、私自身も過去の出会いや経験の全てが創作の原動力になっているのだと気づかされました。ダンスも刺繍も、私の中では表現として一貫しています。後で知ったことですが、岡本太郎さんは私が生まれた年にNMHの衣装や舞台美術を手掛けられたそうです」
「刺繍もダンスも同じ命の躍動です」
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