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少しでも大谷選手にネガティブなことを言う人間は許さない…そんな空気に警鐘を鳴らしたい(立岩陽一郎)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月27日 11時3分

 実は、この事実が訴状で大きな意味を持っている。この訴状の結論部分に次のように書いてあるからだ。

「仮に被害者A(大谷選手)がこのような電信を知り、許可していたのであれば、水原氏が被害者A(大谷選手)になりすましてA銀行の行員に虚偽の供述を繰り返したということは信じられない。」

(I do not find it credible that Mizuhara would have made repeated false statements to Bank A employees by pretending to be victim A if victim A was aware of and authorized these wires.)

 水原容疑者による虚偽の働きかけが、大谷選手が知らないところですべて行われていたことの証明の一つと指摘されているわけだ。

■健全な言論空間、健全なメディアであるために

 ところで、この「A銀行の行員に虚偽の供述を繰り返した」点が訴状で具体的に書かれているのは「2月2日頃」の2件だけだ。ここで、最初の電話で認められなかったものが、2度目の電話で凍結されたオンライン送金が利用可能になる経緯は明確には書かれていない。A銀行からの大谷選手に関する問いに水原容疑者が答えられたため、となっているだけだ。

 ただ、なぜそれが可能だったのかという私の疑問については、訴状は答えているわけではない。その際に、水原容疑者が自身を大谷選手だと信じ込ませることができた情報を水谷容疑者がどのように入手したのかが書かれていないということだ。それは、誰でも簡単に探せる情報だったのかもしれない。事の性質上それは考えにくいが、妙な推測はしない。ただ、その点は訴状で明確にはされていない、ということだけは記しておく。

 繰り返すが、私がメディアで発言し、ここで書いていることは、何も大谷選手が不正に手を染めたという点ではない。それは番組でも伝えている。また、この点を追及する気もない。なぜなら、この事件についてアメリカの捜査当局も事実上の終息宣言をしているからだ。これ以上、何かを探すことに意味はない。ただし、なぜ水原容疑者が大谷選手に無断で不正送金が行えたのかについて、疑問は疑問として残っているということだ。それだけのことだ。

 それでも、謝罪を求めるコメンテーターは、そんなことは関係ないと主張するだろう。そもそも「人の道から外れることは絶対にしない」大谷選手に疑問を呈すること自体が「人の道」に反すると言うのかもしれない。もちろん、それを旨としてコメンテーターをするというのは個人の自由だろう。まさか、大谷選手だけ特別というわけではないだろうから、今後すべての問題についてそういう主張をするのだろうと思う。しかし、それが健全な言論空間、健全なメディアのあり方なのかという点は冷静に考えたほうがよい。

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