かまいたち「新春!爆笑ヒットパレード」のMCに抜擢 先の読めない生番組が一番力を発揮できる場なのだ(本多正識/漫才作家)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月11日 9時26分
かまいたちの山内健司と濱家隆一(C)日刊ゲンダイ
【お笑い界 偉人・奇人・変人伝】#225
かまいたち
◇ ◇ ◇
元日恒例の「新春!爆笑ヒットパレード」(フジテレビ系)で15年続いたナインティナインに代わって総合MCに抜擢されたことは話題になりました。
番組冒頭で過去のMCとしてコント55号から始まってそうそうたるメンバーが紹介されていましたが、今年58回目を迎えた老舗お笑い番組の総合MC……いざ画面に登場するとNSCの生徒時代、卒業後に漢字の「鎌鼬」という名前でコンビを組んでネタの相談を受けていたことなど、いろいろ思い出されて感無量で涙があふれてしまいました。
8時間にも及ぶ生放送でも安定したMCでした。彼らの強みは漫才もコントもできる“二刀流”に加えて、ロケを年間300本近くもこなしてきた「ロケの鬼」で培われたアドリブの強さ。ロケは素人が相手ですから、ほぼ「ぶっつけ本番」です。その瞬間、瞬間に相手の良さを引き出しながら、番組がどういう方向にいくかわからない中で、どれだけ面白いリアクションが取れるかが勝負。何が来ても料理してきた実力が、見ている時の安定感につながっています。
MCは場数を踏んでいくうちにパターンを覚え、また独自のパターンをつくりながら自分たちの「引き出し」を増やしていくものです。そして、その引き出しを数多く持っている者や「黄金パターン」を考え出した者が淘汰されながら勝ち残っていくのがこの世界。
デビュー当初は同期と比べてもMCははっきり言って下手な方だったと記憶しています。それが場数を重ねて、努力で埋めてきたのがかまいたち。あれだけテレビのレギュラーを持ちながら、昨年は東京・大阪の単独ライブでコント3本、漫才3本をつくってくる愚直さはなかなかできるものではありません。
そんな現場を数多くこなしてきた2人にとって、先の読めない生番組が一番力を発揮できる場。他の番組で頭角を現している先輩芸人の千鳥やサンドウィッチマンを超えて、かまいたちがMCに選ばれた理由のひとつではないでしょうか。
また15年の長きにわたったMCのナイナイから、次の世代へ交代というタイミングに、ちょうど上昇気流に乗ってきた運の良さは、今後の飛躍を暗示しているような気がしています。ちょっとホメすぎたかとも思いますが、2人がこの世界に足を踏み入れた、その日から見続けてきた贔屓目があればお許しください。
忙しい中でも漫才、コントの新ネタをつくり続けるかまいたちは、これからも着実に階段を上っていってくれるでしょう。
(本多正識/漫才作家)
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