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ドーピング問題で米国が5.7億円支払い拒否…世界機構(WADA)とガチンコバトルに突入へ

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月11日 9時26分

ドーピング問題で米国が5.7億円支払い拒否…世界機構(WADA)とガチンコバトルに突入へ

米国代表として2024年パリ五輪に出場したエリヨン・ナイトン陸上男子短距離選手(C)Mickael Chavet/ZUMA Press Wire/共同通信イメージズ

 大国が動いた。

 日本時間9日、米国反ドーピング機関(USADA)は、米国政府が世界反ドーピング機関(WADA)への2024年分の拠出金360万ドル(約5億7000万円)の支払いを保留したと発表した。

 かねてWADAとUSADAは対立が続いている。21年、中国の競泳23選手がドーピング検査で陽性となりながら、東京五輪出場が許可された問題をめぐり、USADAがWADAを批判。一方、ロイター通信によると、WADAはUSADAが11年から14年にかけてドーピング違反選手に制裁を科さず、他の違反者情報を提供する「スパイ」として競技を続けさせたと指摘。世界的な規定に違反していると主張していた。

 世界基準に牙をむく米国の狙いについて、五輪アナリストの春日良一氏はこう言う。

「そもそも、米国がつくった独自のドーピングシステムがWADAの規定に符合していないことが発端です。このタイミングで動いたのは、今年6月にIOC(国際オリンピック委員会)バッハ会長の体制が終わるため、それまでにUSADAとしての意思を表明、決着をつけたい狙いがあるのだと思います」

 WADAの予算は、IOCと各国政府が半分ずつを負担している。米国が今回支払わなかった360万ドルは、WADAの年間予算の約6%を占めるが、春日氏は「あくまでIOCや各国が補填できる金額。WADAが立ち行かなくなることはないでしょう」と話す。

 さらに春日氏は、WADAによる“反撃”の可能性を指摘する。

「これまで逃れてきた米国の五輪出場選手たちの薬物違反が暴露される可能性があります。米国の選手は、WADAのとは異なる米国独自のドーピングコントロールのおかげで守られてきた部分がある、とみる向きもありますからね」

 USADAは昨年、禁止薬物の陽性反応を示した米国の陸上男子短距離エリヨン・ナイトンに対し、「薬物に汚染された肉を摂取したことが原因である可能性がある」と判断。資格停止となる違反はなかったとして、米国代表の選考会への出場を認め、そのままパリ五輪にも出場、波紋を呼んだ。

 両者はどうやって落とし前をつけるのか……。

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