1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

追加費用が発生する「選定療養」はジェネリックのさらなる普及が目的【高齢者の正しいクスリとの付き合い方】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月11日 9時26分

追加費用が発生する「選定療養」はジェネリックのさらなる普及が目的【高齢者の正しいクスリとの付き合い方】

写真はイメージ

【高齢者の正しいクスリとの付き合い方】

 昨年10月から、ある制度について大きな変化がありました。高齢者で日頃からクスリを使用している場合はお気づきの方もいらっしゃるかもしれません。

 後発医薬品(ここではより身近なジェネリック医薬品という言葉を使用します)のある先発医薬品の選定療養に関するものです。ジェネリック医薬品があり、特別な理由もなく先発医薬品を希望する場合、追加で費用が発生するようになったのです。

 追加費用は、先発医薬品とジェネリック医薬品の価格差の4分の1相当の料金となります。1錠あたり60円のジェネリック医薬品があるにもかかわらず、1錠あたり100円の先発医薬品を希望したとすると、差額40円の4分の1、つまり10円の追加料金が発生します。

 ここで注意したいのは、この追加料金は通常の医療費とは別でかかるということです。「10円」と聞くと安いと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、90錠処方されたとすると10円×90錠=900円の追加になりますし、差額が大きいクスリだった場合や複数種類の先発医薬品を選択した場合などでは、さらに高額になるケースもあります。

 この選定療養の目的は、一言で言うとジェネリック医薬品のさらなる普及です。言い方を変えると、年々増加し続ける医療費の削減です。

 ただ、どんなクスリでも選定療養の対象となるというわけではありません。先発医薬品とジェネリック医薬品の両方があったとしても、先発医薬品の薬価が収載された期間が短い(発売してまだあまり時間が経過していない)場合は、この対象にはなりません。この点については、処方箋を受け付けている薬局などでご確認ください。

 また、先発医薬品を使用する医療上の必要性がある場合も、選定療養の対象ではなくなります。この医療上の必要性とは、①先発医薬品とジェネリック医薬品で承認された効能・効果に差があり疾患の治療のために先発医薬品を選択する必要がある場合②これまでにジェネリック医薬品を使用した際に副作用や他のクスリとの相互作用が生じたことがあることや、先発医薬品との間で治療効果に違いがあるなどの安全性の観点から先発医薬品を選択する必要がある場合③学会などが公開しているガイドラインでジェネリック医薬品へ切り替えないことを推奨しているような場合④剤形上の違いによりジェネリック医薬品での調剤が難しい場合などが想定されています。つまり、こういった医療上“どうしても”という理由がない状態で先発医薬品での調剤を希望する場合には、追加料金が発生するのです。

 長く医療を維持するためにも必要な制度となりますので、ご理解をお願いします。

(東敬一朗/石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください