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不動産業者のアドバイスで自宅を売却。「特例で非課税」のはずが、税務署からはまさかの一言…トラブルの種はどこにあったのか?【空き家収益化のプロが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年2月28日 7時0分

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不動産業者なら「空き家」に関する疑問にも答えられると考えている人いるかもしれません。しかし、そうした安易な判断が大きなトラブルの原因になってしまうことも。本稿では、三木章裕氏の著書『実家の「空き家」超有効活用術』(フォレスト出版)より一部を抜粋し、相談相手を誤ったことによるトラブル事例と、その対策についてみていきます。

「空き家」を横断的に解決できる専門家がいない

空き家問題だからといって、不動産業者なら何でもわかっていると思いがちですが、現在の不動産業界の分野が細分化されたことで、総合的にわかる人がいなくなりました。

不動産の取引では、いろいろな局面で各分野の専門家とかかわることになります。それぞれその分野では、相当な専門性を持っています。

皆さんは、このような方とそれぞれの場面で相談しながら、自分の不動産のゴールを達成していかなければなりません。

ただ、注意すべきことがあります。

専門家に“専門外”の質問をしないことです。

例えば、売買仲介の不動産業者に、税金のことや建築のことを相談しても、正しい答えを言ってくれていると思わないことです。同じ仲介業でも、売買と賃貸では全然分野が異なり、売買業者に賃貸のことを質問しても、まともに答えられる人はほとんどいません。

このように不動産の分野は縦割りになっており、横断的に知識を理解する人がいません。

でも、得てして、いろいろな方に相談するのが億劫で、目の前にいる担当者に相談してしまいたくなりそうですが、これがトラブルの原因になりやすくなります。

【トラブル事例】

実際にあったトラブル事例です。

売主Aさんが、売買仲介業者Bに、自分の住まいの売却を依頼しました。業者Bは、「古い建物なので、事前に取り壊して売るほうが売れやすい」とアドバイスをしました。

売主Aさんは、友人Cさんが以前自宅を売却したときに税金がかからないで助かったという話を聞いていたので、「自宅を売る場合は、税金はかからないものだ」と勝手に解釈していました。

業者Bも「住宅を売る場合は、税務上の居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特例」があり、よほど高額なことがなければ、特例で税金はかからないでしょうと言われて、業者に言われるまま、自宅を解体して売却してもらうことにしました。

そして1年を過ぎた頃に、新築を建てたかった新婚夫婦に売却できました。売却価格は2,000万円ほどでしたので、特例の範囲だと思い、確定申告したところ、税務署から、

「家屋を取り壊した日から1年以内にその敷地の売買契約が締結されていないので、特例の適用は受けられない」

と言われ、なんと400万円近い税金を払う羽目になってしまったのです。

こうしたトラブルから身を守る方法とは

業者Bは、「転居してから3年以内の売買なら3,000万円控除の特例を受けられる」という曖昧な税金の知識しか持っておらず、特例についての不正確な知識をもとに解釈していました。

しかし、建物を取り壊した後に特例を受ける場合の要件は、別途租税特別措置法関係通達で細かく適用要件が定められており、税金の素人である不動産業者が到底理解できるものではありません。

このような場合、特例を受けることが売買の取引要件なので、売却にあたってまず一番に相談すべきは、税理士さんであったはずです。

売主Aさんも、不動産業者に行けばすべてワンストップで解決すると安易に考えていました。

不動産売買業者は、不動産売買の取引の専門家であり、決して税金の専門家ではありません。不動産業者の税金に関する提案は、すべて税理士さんに裏をとる必要があります。

もし私がこのような依頼を受けた場合は、分をわきまえて税理士さんを売主Aさんに紹介して、不動産売買仲介業者と販売計画を検討して、税理士さんと調整交渉しながら、特例を受けられるように支援コーディネートします。

大手の仲介業者でも、税理士さんを紹介することまではしないのが一般的です。

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