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「その努力、間違ってます!」脳科学者が断言する〈運のいい人〉の絶対条件とは?<br />

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年3月6日 11時30分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

「あの人ってなんか運がいいよね」そんな人があなたのまわりにもいるのではないでしょうか? 「運なんて自分でコントロールできないのだから運に恵まれないのは仕方ない」と思ってしまう人もいるでしょう。でも、運がいい人に共通する考え方や行動パターンがあったとしたら……。そこで本稿では、医学博士の中野信子氏による著書『新版 科学がつきとめた「運のいい人」』(サンマーク出版)から一部抜粋して、脳科学者がつきとめた運のいい人だけがやっている「思考」と「行動」を解説します。

「君は運がいいか?」松下幸之助の質問

なぜかわからないけど「運のいい人」ってまわりにいませんか? 特別な人には見えないのにいつもうまくいってしまう。傍(はた)から見ていると「ツイている」としか言いようがない。 そんな人を見て「あの人は『運』がいいんだ。『運』のよしあしは自分では変えられないのだから私が『運』に恵まれないのはしかたがない」とあなたは思っていませんか? でも、果たしてそうなのでしょうか?

松下幸之助氏をご存じですか? 世界的企業であるパナソニックの前身・松下電気器具製作所を創業し「経営の神様」と呼ばれています。財産もコネもない裸一貫から始めて小さな町工場を大企業に育て上げたことからも松下幸之助氏は日本でもっとも「運がいい人」のひとりだと言えると思います。その彼が採用試験で必ず最後に聞く質問があったそうです。 それは「君は運がいいか?」というものでした。

そして「はい。運がいいです」と答えた人のみ採用したそうです。 なぜなら、自分のことを「運がいい」と思っている人は少しぐらいの逆境でもあきらめたり、腐ったりせず、真正面から立ち向かい乗り越えてしまうからなのです。 「自分は運がいいので絶対大丈夫」と自分を信じているからです。

松下幸之助氏のこの質問からわかるように「運」というものは必ずしも、その人がもともともっていたり生まれつき決まっていたりするものではなく「その人の考え方と行動パターンによって変わる」といえます。 運がいい人には共通した考え方や行動パターンがあるのです。運をよくするための振る舞いがあるのです。運はコントロールできるのです。

「運がよく」なる考え方や行動パターンがあるのなら、自分の脳にその考え方や行動を習慣づけてしまえばあなたも運がよくなるはずです。そう、あなたの脳を運を引き寄せられる脳にしてしまえばいいのです。 このような考えのもと、本連載では「運をよくする」考え方や行動パターン、振る舞いを脳科学的見地からつきとめて、自分の脳を「運のいい脳」にするためのヒントを紹介していきます。 あなたも、「運のいい人」になりませんか?

運のいい人はいまの自分を生かす

運のいい人になりたいと願うとき、あなたはつい、自分を変える努力をしようとしませんか。 たとえば経済的に恵まれているひとを運のいい人と考えている人は、経済的に恵まれる自分に変わる努力をしようとする。健康で長生きできる人を運のいい人と考えている人は、健康でいる努力をしようとする。私たちはつい、自分が考える運のいい人になるべく、勉強をしたり、環境を変えたりするなどして、いまの自分を変える努力をしてしまいがちです。 しかしそのやり方はちょっと違うのではないでしょうか。「運のいい人になるために自分を変える努力は、一見、運のいい人に向かっているようで、実はものすごく遠回りをしている。もっといえば、運のいい人からどんどん離れていっているのではないか」と私は思うのです。 というのは、脳には人それぞれに特徴があり、それがその人の個性をつくり上げている部分が少なくないからです。 たとえば、私たちの脳にはセロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質が存在しますが、この量には個人差があります。

これらは、私たちの情動に働きかけ、気持ちを動かす物質です。セロトニンは、脳の過剰な覚醒や活動を抑える働きがあり、安心感、安定感、落ち着きをもたらしてくれます。ドーパミンは「やる気」のもととなり、私たちが何か行動を起こす際のモチベーションを高めるなどの働きがあります。ノルアドレナリンは、集中力を高めてくれるなどします。 いずれも人が健康に生きていくうえで欠かせない物質ですが、増えすぎると脳と体に悪影響を与えます。そのため、神経細胞にはセロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンを分解し、全体量を調整するモノアミン酸化酵素という物質があります。この酵素の、分解の度合いには遺伝的な個人差があり、これが脳の一つの個性を生み出すのです。 この分解の度合いが低いタイプの女性の脳は、幸福を感じやすい脳といわれ、生まれつき幸福感が高いとされています。なかでもとくに低いタイプの人は、幸福感が高いと同時に、援助交際のような反社会的行動をとりやすいともいわれています。 幸福感が高いのに反社会的行動を起こしやすいというのは、一見矛盾しているように感じるかもしれません。モノアミン酸化酵素の分解の度合いが低いということは、セロトニンの分泌量が多いということ。セロトニンが多いと安心感、安定感を抱けるため、その反対である不安感がないのです。不安感は先を見通す力、将来を考える力があるからこそ芽生えます。 逆にいうと、先のことを考えていないからこそ不安感ももたない。つまり、セロトニンの分泌量が多すぎると、先のことを考えないから、「いまがよければいい」といったような反社会的行動をとりやすくなるのです。 また、男性の場合は、モノアミン酸化酵素の分解の度合いが低いと攻撃的なタイプになるといわれています。 たとえばこのように、私たちの脳は、自分では如何(いかん)ともしがたい生まれつきの個性をもっているのです。 この個性は、「私は先のことをあまり考えないタイプだ。だからあえて1日1回は真剣に考えるようにしよう」などと、自分の脳の特徴を自覚することで、その特性の発揮をある程度抑えることはできます。しかし脳の個性をガラリと変えることはできません。 つまり、私たちは「運のいい人になりたい」と願って自分を変える努力をしがちですが、そもそも自分を変えるというのは至難の業で、そうたやすくできることではないのです。 そこで、少し視点を変えて「いまの自分を最大限に生かす」ことを考えてみましょう。いまの自分を変えようとするのではなく、いまの自分を生かすのです。 たとえば幸福感が高く、反社会的な行動をとりがちなタイプの人は、裏返せば「怖いもの知らず」といえます。怖いもの知らずの性格は、営業や大きな金融取引などの仕事に生かせるかもしれません。あるいは、不安感を抱きがちな人に前向きな言葉をかけてあげることもできるでしょう。 攻撃的なタイプの人は、弁護士など舌戦を必要とする職業で実力を発揮するかもしれないし、組織の中では渉外などの立場で活躍できる可能性があります。 このように、自分がもっているプラスの要素はもちろん、一見マイナスに思える要素も自分の資質として生かす方法を探るのです。自分に与えられたものはすべて自分の資質としてコントロールする努力をするのです。 たとえいまの自分の状況が世の中の基準から考えるとちょっとズレている、という場合でも、自分が心地よいと思う状況なら、その状況を生かすことを考えましょう。たとえば学校や会社に行けない人なら、無理に行こうとするのではなく、学校や会社に行かないがゆえにできることを考えてみるのです。 自分を世間の標準に合わせる必要はありません。いちばん大事なのは自分です。その自分を最大限に生かすのです。 私はこれが運のいい人になるための絶対条件だと思っています。 いまの自分、自分の体、自分の考え、自分の価値観、自分の直感など、とにかく自分のありとあらゆるものを生かすのです。 まずは、いまの自分を生かすことを考えてみましょう。 いまの自分を最大限に生かすというのは、「自分を大切に扱う」ということでもあります。新しい何かを身につけたり、得したりしようとするのではなく、すでに自分に与えられているものを生かしきるのです。 これが運のいい人になるための近道のひとつです。

中野信子 脳科学者/医学博士

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