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やりたいことがあるから「正社員」にはなりません…手取り23万円、あえて「非正規社員を選ぶ人たち」の未来は不安定なのか?

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年3月5日 5時15分

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生活を安定させたいからと「正社員」を目指していたのは、ひと昔前の話。昨今は、「あえて非正規社員」という人が増えています。自由な働き方に、プライベートも充実……しかし、将来に渡って幸せが続くかあまりに不透明。みていきましょう。

「正社員」の仕事がないから「非正規社員」を選んでいるわけではない

総務省『労働力調査 2023年(令和5年)平均結果』によると、2023年、雇用者は6,076万人で前年比22万人増。そのうち正社員は3,615万人で前年比18万人増、非正規社員は2,124万人で前年比23万人増でした。

年齢別にみていくと、20代前半から30代前半にかけて減少し、その後、増えていく傾向にあります。これは、結婚・出産を機に非正規社員を選択する女性が多いからと推測できます。

20~24歳:188万人(91万人/97万人)

25~29歳:117万人(46万人/72万人)

30~34歳:119万人(36万人/83万人)

35~39歳:141万人(31万人/111万人)

40~44歳:171万人(28万人/143万人)

45~49歳:208万人(30万人/178万人)

50~54歳:222万人(32万人/190万人)

55~59歳:195万人(34万人/161万人)

60~64歳:257万人(106万人/151万人)

65歳以上:417万人(211万人/206万人)

※数値左より、非正規社員の総計(男性の非正規社員数/女性の非正規社員数)

なぜ非正規社員でいるのか。最も多い理由が「自分の都合のよい時間で働きたいから」で、全体の占める割合は34.7%。ついで「家計の補助・学費等を得たいから」18.3%、「家事・育児・介護等と両立しやすいから」11.2%。「正社員の仕事がないから」は9.6%でした。

10年前の2013年と比較すると「自分の都合のよい時間で働きたいから」の全体の占める割合は10.5%増、一方で「正社員の仕事がないから」はマイナス9.6%でした。

この10年で、「仕方なく非正規社員でいる」という人は大きく減少し、一方で「あえて非正規社員でいる」という人が大幅に増加。特に増加幅が多いのが20代前半で18.0%増。20代後半で11.5%増、30代後半で11.2%増となっています。

自由な働き方ができる…「あえて非正規社員を選ぶ人たち」の主張

コロナ禍を経て、働き方はより多様化。正社員が増える一方で、「自分の好きなことをしたいから」と積極的に非正規社員を選ぶ人は増加しました。

――正社員になると音楽が続けられないから

都内在住の20代の男性は、大学卒業後もバンド活動に軸足を置きたいと、フリーターの道を選んだといいます。週6で働き月収は25万円程度。ただライブの多い月は、月収は数万円ほどになるとか。

――給与は安定しないが、やりたいことをやりたいから、正社員にはならない

両親には「大学まで行ったのに」と就職しないことを咎められたといいます。しかし「就職して働く同級生は辛そうにしている。仕事が楽しいという話も聞かない。高い給料をもらうことが幸せだとは、どうしても思えない」と、就職することに対してネガティブな感情を抱いています。

夢を追いかけるような若者だけではありません。IT企業で働く30代女性は、あえて非正規社員を選んだきたひとり。

――正社員は毎日残業で家に帰ったら夜の9時、10時。それなら定時に帰ることのできる、非正規のほうがいい

定時での帰社後は、週2で習い事。ほか友人と食事に行ったり、趣味の映画を見に行ったりと、充実したプライベートを過ごしているといいます。

昨今、非正規正規社員の給与は大きく上昇。たとえば、イオンでは2024年春にパート時給を平均7%上げる方針を固めています。正社員でなくても十分に稼ぐことができ、生活していくことは容易になってきています。

しかし、問題は社会保障。前出の男性が、非正規社員の平均給与を得て、かつ厚生年金に加入できたとしましょう。大卒・非正規社員(平均年齢54.9歳)の平均給与は、月収で30.8万円。手取りにしたら23万円ほど。賞与も含めた年収は418.5万円です。大卒時から60歳まで働いたとしましょう。65歳からもらえる厚生年金は月6.6万円、併給の国民年金と合わせると月13万円程度になる計算です。一方で、大卒・正社員の平均給与であれば、厚生年金は月10.3万円。正社員か、非正規社員かで、月4万円の差が生じます。年金頼みの老後で月4万円、年間50万円近い収入差はかなり大きなものです。さらに厚生年金の加入条件を満たしていないのであれば、支給されるのは原則、国民年金のみ。満額支給であっても月6万8,000円(令和6年度)となります。

年金が少ない分、自助努力でなんとかできればいいのですが、「資産運用するにしても元金がない」という声が多く聞かれるなか、給与面で劣る非正規社員が資産形成を進められる可能性は高くありません。「好きなことをしたいから正社員にはなりません」の先には不安定な未来が待っていることは確実で、正社員に偏りがちな社会保障の是正を主張する専門家も。

では正社員なら将来は安泰かといえば、そんなこともいえない状況。実質賃金は2年近くもマイナスを記録し、給与ダウンが続いている状況。そして将来、年金は目減り・減額は確実で正社員であっても、それほど明るい未来がまっているわけではありません。

自由な働き方ができるから……あえて、非正規社員を選ぶ人が増えているのも納得です。

[参考資料]

総務省『労働力調査 2023年(令和5年)平均結果』

厚生労働省『令和4年 賃金構造基本統計調査』

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