1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

スバル、山崎製パン、キリン……相次ぐ“事故” 問題の根っこに何がある?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月24日 8時35分

写真

日本の工場で「悲劇」が続く、理由は?

 日本の工場で「悲劇」が続いている。

 2月13日、群馬県太田市にあるスバルの群馬製作所矢島工場で、崩れた金型に挟まれて作業者が死亡する事故が発生した。翌14日には、岡山県笠岡市にあるJFEケミカル西日本製造所笠岡工場で、水や薬品をためておく深さ2メートルのピットに作業員が転落して亡くなった。

 それからほどなくして24日、今度は日本の「安くてうまい食」を支える企業で悲劇が起きる。千葉市美浜区にある山崎製パン千葉工場で、60代のパート勤務女性がベルトコンベヤーと搬出装置の間に落ちた加工品を取ろうとしたところ、腕や上半身を装置に巻き込まれ亡くなってしまった。この事故で過去(2020年、2015年、2012年)の死亡事故も蒸し返されて「ブラックな企業体質のせいでは」という声も上がっている。

 3月26日には、建設機材の部品などを製造するカネソウの三重県朝日町の工場で、作業員の男性が自動造型機のプレス部分に頭を挟まれて死亡。4月10日には、アルミ製造大手UACJの深谷製造所敷地内で、50代の男性作業員がやはり機械に挟まれて搬送先の病院で亡くなっている。

 そして、4月20日にはショッキングな死亡事故が発生する。茨城県取手市のキリンビール工場でタンクのつまりを解消するために作業をしていた清掃員の男性が、コーンスターチの中で倒れているのが見つかり病院に搬送されたが、そのまま死亡が確認されたのだ。ちなみに、この工場では2023年10月にも倉庫の屋根で清掃作業をしていた男性が転落して亡くなっている。

 これらは「氷山の一角」にすぎない。直近2カ月の名の知れている企業の死亡事故をピックアップしただけで、その時は一命を取り留めたがしばらくして亡くなったケースや、個人経営の小さな工場にまで対象を広げれば、数はもっと膨れ上がる。

 なぜ今、「工場死」が相次いでいるのか。

●近年「労災死亡者」は減少傾向だったが……

 そもそも、製造業の「労災死亡者」は近年減少傾向だった。というよりも、「激減」をしていなければおかしかったのである。日本の製造業就労人口は2002年に1202万人だったが、2022年は1044万人まで減少した。つまり、この20年間で日本は、福岡市の人口158万人と同じ「工場労働者」が消滅しているのだ。

 労働者の総数が激減しているのだから、「蟹工船」のような劣悪な工場でない限り労災事故も当然、激減していく。実際、厚生労働省が2022年に発表した労働災害発生状況によれば、製造業での労災死亡者数は140人。2017年に比べて20人減少している。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください