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【実話】“本田圭佑”の心も掴む…チャンスは1回!投資家に「出資」を決断させるプレゼンで「最も強調すべきこと」〈シリアルアントレプレナーが戦略を伝授〉

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月2日 10時15分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

起業家は自分が作るビジネスについて、社内外のステークホルダーに説明する機会が多くあります。では、社外の投資家に自社への出資を決断させるにはどのようなプレゼンをすればよいのでしょうか? 本記事では、株式会社Piece to Peace代表取締役CEOの大澤亮氏が、サッカー選手であり実業家の本田圭佑氏からの出資を受けた経験から、投資家に出資してもらうためのプレゼンのポイントを詳しく解説します。

本田圭佑に自社のアンバサダーとなってもらいたい!

2019年8月15日の夜。あの、本田圭佑氏へのプレゼン。事業に投資の決断をいただくためのチャンスは1回きりでした。どうやって決断に至らしめたのか。50分程度のあいだに、いろんな話をしましたが、「なにが最も決断させるに至ったのか」。

あくまで本田さんとのやりとりのなかでの想像に過ぎませんが、起業家の皆さんが今後投資家にプレゼンすることもあるかと、一部始終を紹介します。

著名人とコンタクトを取る一番有効な方法

筆者の運営するサービス「キャリーミー」の構想をしていたのが2015年、2016年に事業化し、1年程度経ったころから、本田さんには「絶対にアンバサダーになっていただきたい」と強く願っていました。

理由は、弊社は既存市場に参入しているのではなく、新しい「プロ人材」という市場を創っていること。市場全体の認知を獲れる、かつ「プロ」に相応しい著名人の力が必要だったからです。

※ 既存の人材紹介や人材派遣、クラウドソーシングで出会う人材とは異なり、業務委託契約で企業と契約し、戦略から実務まで業務を行う優秀な起業家・フリーランス人材。

さて、強く願っただけでは、当然想いは叶えられません。よくさまざまな本にあるように「書かないとダメ」とありますし、実際に書いて自宅に貼り付けていましたが、当たり前のことながら、書いただけでもダメです。必要なのは「どれだけ実行に移せるか」。

では、「どう実行するか」です。いきなり本田さんにXやDMを送ってみても、無視される確率が高い。こうしたときに最も信頼できるのが、「本田さんが信頼するような人からの紹介」でしょう。

本田さんをアンバサダーに、という想いを抱いてから1年程度経過したときに、とある実績豊富かつ著名なエンジェル投資家とお会いしお話することができました。

その方(A氏)とお会いし、ある程度信頼関係が構築できたと思われた時点で、相談してみました。

「Aさん、もしかして、本田圭佑さんと一緒に投資などされていませんか? もしされているようであればご紹介いただくことは可能でしょうか?」

A氏は快く承諾してくださいました。これで、第一関門は突破!

プレゼンの戦略

さて、そこから第二関門です。いくら本田さんが信頼できる方からの紹介とはいえ、簡単に投資を決めたり、アンバサダーに就任するはずがありません。

どうやって投資をいただき、アンバサダー就任まで決断いただくか

ここに焦点をあて、A氏からご紹介をいただいてから実際のプレゼンまでの約1ヵ月間、戦略を考え抜きました。

そこで、筆者が立てた戦略は、「本田さん側に絶対損はさせない」を強調することでした。

投資業務は筆者も別の会社で複数経験しましたが、10社に投資して1社でもExitないし上場すればOK、というレベルの、非常に難易度が高い業務です(投資のプロであっても、起業家が成功することや、成功する起業家や事業を見抜くことはそれだけ難しいということです)。

そうすると、投資を生業とする会社や個人でも、10社に1社どころか100社に1社でいいから、「大きく儲かる」事業を見つけて投資をするタイプか、着実に10社中2~3社の割合で「一定レベルでいいので儲かる」事業を見つけて安定的に利益を創出していくことを目指すタイプの2パターンがあります。

VC業務はいずれの視点も重要ではありますが、本田さんは普段の本田さんの言動からすると、前者を狙いそうにも見えます。しかし実は後者なのではないか?と考えました。

理由を1つだけ挙げるとすると、「ビッグマウス」とも揶揄されることもある本田さんですが、実は有言実行の方。

裏を返せば「できないことは言わない」という方で、高い目標を立てつつも着実にできることをこなし、できることを宣言されているように見えました。

そうした方だとすると、大きな風呂敷を掲げて「これだけ儲かりますよ」と話しても、大ほら吹きにしか見えないのでは?という懸念がでてきました。

そのため、筆者が意識したのは、ほかのVCなどへのプレゼンとは異なり、未来のビジョンや構想などよりも、

・等身大の自分を、事実や行動ベースで紹介し、信頼に足る人物であること (未来よりも過去を語ることで、どんな人間かを理解いただきやすい)

・今回は(絶対とは言えませんが)極めて損をしにくい投資であること

を意識して話しました。

50分のプレゼンで魅力を最大限伝える

さて、「損をさせない」ということを単純に伝えることは簡単ですが、重要なのは、そこへの説得力です。筆者の場合は以下の3つを根拠に絶対に損はさせない、と覚悟を持って伝えました。

1.先に自分以外に株主がいたこと

一番最初に投資を決めるのは誰でも勇気がいる、ハードルが高いことです。弊社の場合、公認会計士である筆者の大学院時代の親友が株主で入っており、本田さん投資の直前にはパーソルグループが投資を決めてくれていました。一般的に信頼できる、会計士と大手企業が株主に入っている、ということはプラスに働くでしょう。

ただし、絶対に損はさせないことの根拠にはこれだけでは当然なりえません。

2.会社の実績

■業績が1年で7倍に急成長

2017年から2018年にかけて1年間で7倍にも売上が成長していました。

■黒字化できるビジネスモデルで、月次黒字化も達成

売上が成長しても、赤字が継続すると、当然ながら倒産してしまいます。弊社は、事業開始3年目でも月次で黒字化していた月もあったため、黒字化を証明することも難しくはありませんでした。

3.筆者個人のビジネスパーソンとしての実績

ただし、会社が「そのとき」成長することと、今後も成長し続けることはイコールではありません。

そこで強調したのが、筆者個人の自己紹介です。当時、ほかの方にはあまりなかった特徴を筆者自身が持っていました。それは、複数回にわたって代表者として事業を創った経験があり、2度売却し、いずれも株主に度も損はさせなかった、という事実です(いまではこのような経験を持っている方もほかにいると思います)。

そのため、「投資してくれたら絶対に損をさせない覚悟で事業を運営します」という言葉に説得力を持たせることができたと思っています。

また補足ですが、上記に加え、「現物出資」という形も提案しました。詳細はお話できませんが、損をしにくい形の投資であることの説明です。

未来のビジョンではなく、過去の実績を証明する

繰り返しになりますが、想いやビジョンで語るだけでなく、「事実や実際の行動」で証明すること、これが大切だと思います。

本田さんレベルの方になると、何百人、何千人と会い、一般レベルの筆者からすると、考えられないような数の経験をされていることでしょう。そんな方に投資決断に至らしめるには、ほかの人が語っているのと同様のビジョンだけでは絶対にダメだと思います。

投資を受けられる確率を上げるには

最終的には、事業というものはいくらでも変化できる、もしくは変化していかなければならないものだと思います。重要な点は、そこに創業経営者がいかに対応できるか、ほかの経営者となにが違うのかということです。

筆者の場合は、当時から支援してくれる株主には絶対に損はさせないという覚悟で運営していました。この言葉に説得力を持たせられることができたということですが、ほかの人にはない自分の強みを、事実ベースで伝えられることが肝要でしょう。

事業を創ってきただけではなく、直前に在籍していた土屋鞄製造所では取締役として売上・利益急成長の一助を担ってきたこと、別の会社では大企業向けのコンサルティングだけでなく投資業務も担当したからこそ、株主の気持ちやスタンスも理解できること、なども自己紹介がてらお話しました。

投資家は事業に投資すると同時に、人を見て投資をしています。

薄っぺらな誇張された自己紹介は本田さんレベルの人にはすぐ見抜かれるので、等身大の姿を見せること。なおかつ、自身が絶対にほかの人より優れている点で、それが現事業に大きく活きるポイントを探し、そこをちゃんと語ることができれば、投資を受けられる確率はぐんと上がるでしょう。

大澤 亮

株式会社Piece to Peace

代表取締役CEO

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