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退職金2,000万円、貯金2,500万円「64歳・勝ち組夫婦」…悠々自適な老後のはずが、妻「30年ぶりに働きに出ます」のワケ

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年3月26日 11時15分

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老後のために自助努力の必要性がいわれていますが、年金も貯蓄も退職金も、すべてが「平均」であれば、老後の安泰は確実のように思えます。しかし実際は不安を募らせる人は多いようです。みていきましょう。

年金、貯蓄額、退職金…すべてが「平均」だったなら、悠々自適な老後は確定⁉

総務省『2023年度 家計調査 家計収支編』によると、65歳以上の単身者の消費支出は14万9,033円、65歳以上の無職の夫婦の消費支出は250,959円です。

【高齢者の1ヵ月の平均支出】

消費支出…14万9,033円/250,959円

(内訳)

食料…42,049円/72,930円

住居…23,799円/16,827円

光熱・水道…13,045円/22,422円

家具・家事用品…5,760円/10,477円

被服及び履物…4,447円/5,159円

保健医療…7,367円/16,879円

交通・通信…21,654円/30,729円

教育…2円/5円

教養娯楽…18,794円/24,690円

その他の消費支出…30,704円/50,839円

※数値左「65歳以上単身者(勤労)/共に65歳以上の無職の夫婦」

それに対して、貯蓄はどれほどあるのか、というと、65歳以上の無職の夫婦で平均2,509万円。負債は平均29万円でした。

また、老後の備えとしては退職金を期待している人も多いでしょう。厚生労働省『令和5年就労条件総合調査』によると、大学・大学院卒の「定年退職金の平均額」は1,896万円。また大学・大学院卒について勤続年数別にみていくと、「勤続20~24年」で1,021万円、「勤続25~29年」で1,559万円、「勤続30~34年」で1,891万円、「勤続35年以上」で2,037万円となります。

さらに老後の生活を支える年金は……厚生労働省『令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、厚生年金の平均受取額は、併給の国民年金と合わせて平均14万4,982円。65歳以上に限ると、男性16万7,388円、女性が10万9,165円です。国民年金は満額受給であれば、月6万8,000円(令和6年度)。平均的な元会社員と専業主婦であれば、月23万5,388円。ただしこれは額面なので、実際の手取りは20万~21.2万円ほどになる計算です。

あくまでも仮定の話ですが、平均的な年金額を手にする「元会社員+専業主婦」が平均的な暮らしをしたら、月5万円赤字。それを貯蓄の取り崩しで対応したら、約40年間で貯蓄がゼロに……逆からいえば「夫婦で100歳を超えても大丈夫」と、なんともおめでたい結果がみえてきます。

配偶者の死去で高まる「老後不安」解消のために出来ることといえば

老後にまつわる「お金」がすべて平均だったら、なんとも明るい未来がみえてきます。しかし、人生、想定通りにいくとは限りません。

――60代にして伯母が仕事を始めた。30年ぶりらしい

そんな投稿をした30代の男性。伯母は結婚して以来専業主婦。ずっと夫を支えてきましたが、そんな夫は60歳で定年を迎えると、完全に仕事を辞めて隠居生活に。「貯蓄を取り崩しても、退職金があるから大丈夫」というのが、その理由です。定年後もなんとかなると仕事を完全に辞めるというのは、いまどきは「勝ち組」の思考。悠々自適な生活を送っていましたふたりでしたが、そんな生活も5年目を迎えたときに、同い年の夫は急逝し、終わりを迎えてしまったといいます。

65歳からもらえる年金額は?

仮に夫が65歳から受け取る年金額が平均的だったと仮定すると、伯母が受け取れる遺族年金は月7.4万円。自身が国民年金を満額受け取れると仮定すると、65歳から受け取れる年金額は月14.2万円程度となる計算です。

元々平均的な貯蓄があったとしたら1,200万~1,300万円程度は残っているはずですし、退職金も手つかずで残っている可能性が高いでしょう。1人暮らしであれば、十分な貯蓄のように思えます。

ちなみに夫婦共働きで、妻が厚生年金と遺族厚生年金を受ける権利がある場合、「遺族厚生年金>厚生年金」の場合、その差額を受けることができます。 「遺族厚生年金<厚生年金」の場合は、遺族厚生年金は全額支給停止になります。

高齢者の住まいの問題

ただ伯母が心配だというのが、30年前に新築で買ったというマンションの管理費・修繕積立金。厚生労働省『平成30年度マンション総合調査』によると、マンションの平均管理費は平均月々1万5,956円/戸あたり、修繕積立金は平均月々1万2,268円/戸、月々2万8,224円程度のランニングコストが発生します。さらに昨今のコスト高により、当初の予定額を大きく上回り、プラスαの負担を余儀なくされる例が後を絶たないといいます。また合意形成が難しく、修繕や建て替えがスムーズにいかないというケースも多いとか。

――終の棲家と考えると、いま住んでいるマンションは不安……

そうなると、施設への入居もひとつの選択肢となります。昨今、介護を必要としない人でも入れる「自立型の介護施設」が人気を集めていますが、価格は高め。入居一時金は平均1,000万~3,000万円程度、月額利用料も20万~40万円程度とされています。

老後不安を打ち消すために「働く」という選択

収入を得る手段が限られる老後は、どんなにお金があろうと将来を不安視するもの。また昨今の物価高に、減り続ける年金、逆に増えるいわれる医療費等の社会保障費……老後の不安は大きくなるばかりです。さらに長年連れ添ったパートナーが亡くなれば、不安感はさらに増すに違いありません。

内閣府『社会意識に関する世論調査(令和5年11月調査)』によると、「経済的なゆとりと見通しが持てない」という回答は、全体で63.2%。女性に限定すると60代の58.5%、70代の53.8%と、過半数を超えています。

――働きに出るのが一番の解決策

男性の伯母は、老後の不安から、働けるうちは働こうと、30年ぶりに仕事に出る決断をしました。昨今、仕事を始める/仕事を続ける高齢者が増えているのは、そんな老後不安の高まりによるものかもしれません。

[参考資料]

総務省『2023年度 家計調査 家計収支編』

内閣府『社会意識に関する世論調査(令和5年11月調査)』

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