〈決算書〉や〈ネット情報〉だけで判断する投資家より有利!?…こだわりや嗜好を持つ人が〈大化け株〉を見つけられる「これだけの理由」【人気投資ブロガーが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月1日 11時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
株で勝つということは、簡単なことではありません。ネットで話題になっている株を買ってしまう個人投資家も少なくありませんが、「これでは勝つことは望めない」と、人気投資ブログ「エナフンさんの梨の木」の筆者であり、会社員投資家である奥山月仁氏は言います。奥山氏の著書『個人投資家入門byエナフン 株で勝つためのルール77』(日経BP)より、株式投資で利益を出すために必須ともいえる「大化け株」の見つけ方を解説します。
【大化け株の見つけ方①】自分の強みを整理しておく
スポーツであれ、ビジネスであれ、およそ勝敗のつくジャンルでは、まず自らの強みを認識して、それを伸ばすのが勝つための鉄則と言えよう。株式投資も例外ではない。ところが、多くの個人投資家はそのステップを踏もうとしない。自分の強みを顧みることなく、ネットで話題になっている株を買ってしまう。これでは勝つことは望めない。
では、株式投資におけるあなたの強みは何だろうか? この点を一度、整理しておくとよいだろう。あまり難しく考える必要はない。あなたの強みの大半は、あなたの人生そのものであるからだ。
何千社もある上場企業のすべてを知り尽くす投資家などいない。自分の得意ジャンルを設定して、そこを深く追究すればよい。仕事や趣味のジャンルならあなたには理解しやすく、他人には理解しにくい。深く数字を追求するにも、将来を予想するにも、あなたならではの個性が生きるし、第一に楽しい。
【大化け株の見つけ方②】身の回りで起きている変化を察知する
まず改めて強調したいのは、株式投資の対象や情報は、自分とは縁遠いところに存在するものではないことだ。むしろ、あまりに身近過ぎて株式投資につながるとは思えないものにこそ、あなたが最も有利な位置に立ち、最もリターンを期待できる投資の対象や情報が潜んでいる。
そのため、身の回りで起きている変化を敏感に察知できるようにアンテナを高めておくことが求められる。米国の伝説的ファンドマネジャー、ピーター・リンチは、変に難しい株を買うのではなく、「身近な銘柄こそが狙い目」と主張する。
人々が行動を変えた時には、周辺に大化け株の候補が必ず潜んでいる。例えば、アップルのiPhoneを買ったついでに、アップル株も買っておけば、あなたは財産をかなり増やすことができただろう。ガラケーからスマホへのシフトは、世界中の人々が体験した身近な変化である。
しかし、この身近な変化を株式投資に結び付けることができた人はごくごく一部に限られる。あなたが目指すべきは、こうしたごくごく一部の人の中に加わる能力を身に付けることだ。身近な変化に気付き、それを投資につなげようとする思考回路を作る努力が、その第一歩になる。
なお、身近な変化を投資につなげられる頻度はせいぜい1年に2~3度だろう。「今日は張り切って身近な変化をいっぱい見つけるぞ」と意気込んでも、そうそう見つかるものではない。
日常の中で感心することや驚くことがあった時、あるいは家族、友人が興奮気味に何かを教えてくれた時などに突然、投資のチャンスは訪れる。それを確実につかむための「気付く力」を磨くのである。
【大化け株の見つけ方③】職場での知見を活用し「ライバル」にも注目
ビジネスパーソンなら、職場での知見をそのまま株式投資に活用することができる。化学会社の社員であれば化学株、半導体関連企業の社員であれば半導体関連株を狙うのだ。
具体的に言うと、例えば、あなたがいつも読んでいる業界の専門紙には業界の出来事が事細かく掲載されている。その中に急成長している新興企業の記事があれば、それこそが有望株の候補になる。恐らく欧米系のヘッジファンドのファンドマネジャーよりも、あなたのほうがよっぽどその会社の有望度を正確に判断できるだろう。私もこの方法で大きく勝ったことがある。
あるいは、職場で何気なく使っている便利なネット企業なんていうのも面白い。その会社の良さを実感できるというあなたの強みを十分に発揮できるはずだ。
10年ほど前の話だが、工場を経営している叔父がこうぼやくのを聞いた。「いつも使っているMonotaRO(3064)の株を買えばよかった。あの便利さを初めて知った時に買えば、株価は10倍になっていたよ」。
工具や間接部材をネットで販売する同社は今や「工場のアマゾン」などと呼ばれ、工場にとって欠かせない存在だが、東京・大手町に通う金融のプロたちには縁遠い企業だ。間違いなく私の叔父はこの会社の良さをいち早く知る立場にあった。
その強みを生かせなかったのは残念だったが、さらに残念な話がある。実はその話を私が聞いた10倍高の時点ですら、同社株を買うには遅くなかったのだ。その後も株価は順調に上がり続け、2018年9月には、10倍高からさらに13倍の6,550円に達した。
あなたが働いている業界で、格下でありながら急成長している「嫌なライバル企業」があれば、それも有望株といえる。業界に精通しているあなたが「嫌だ」と感じることこそ、その企業が優れている証拠だ。「業界の秩序を乱す」などと文句を言う前に、その株を買い、ビジネスモデルの研究でもしたほうが、あなたの仕事にも有益だろう。
【大化け株の見つけ方④】趣味や好みの情報を生かす
仕事以外であれば、あなたの趣味もそのまま強みとして生かせるだろう。必ずしも人に自慢できるような趣味である必要はない。
例えばゲーム。「ポケモンGO」の大ヒットで急騰した任天堂(7974)のように、このジャンルからはいくつも大化け株が登場している。クルマ好きならスバルブランドの富士重工業(現SUBARU、7270)で10倍高を取れたかもしれない。商品やサービスの良さを実感できるだけでも、決算書やネットの情報だけを見て投資している人に比べれば、かなりの強みを持っていると言えるのだ。
もっと言うと、趣味ともいえないこだわりや嗜好でさえも、十分な強みになる。私はトンカツが大好物だが、おかげでトンカツ専門店「かつや」を展開するアークランドサービスホールディングス(2023年8月に親会社による完全子会社化で上場廃止)でテンバガー(10倍株)を取れた。
ひょっとしたらこれが一番大事かもしれない。「好きこそものの上手なれ」だ。株の場合は財産がかかっているので本気度が違う。投資対象のホームページや決算資料を隅から隅まで読めば、専門性に磨きがかかる。
奥山 月仁 会社員投資家
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