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スウェーデンの10倍、アメリカの6倍。日本人に多い「寝たきり老人」…なる人とならない人の決定的な差【理学療法士が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月12日 10時15分

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※画像はイメージです/PIXTA

年をとったら、寝たきりになるのは仕方ない……そう思っている人は多いでしょう。しかし、実際は自分の努力次第で寝たきりは防ぐことができると、リタポンテ株式会社取締役であり理学療法士の上村理絵氏はいいます。本記事では、同氏による著書『こうして、人は老いていく 衰えていく体との上手なつきあい方』(アスコム)から、老化を予防/遅らせる方法について解説します。

寝たきりになるのは、本当に仕方がないことなのか

「肉体的な老化」の終着点が寝たきりです。2020年の介護保険事業状況報告(厚生労働省)によると、施設に入所している寝たきりの方は300万人以上。自宅などで寝たきりになっている人を含めれば、その数はさらに増えるといわれています。

実は、このような国は珍しく、少し昔のデータにはなりますが、介護施設の利用者の80歳以上の寝たきり率は、介護制度が充実している北欧の国スウェーデンに比べ9.7倍、アメリカと比べても6.3倍。非常に高くなっています。

寝たきりになれば、人生を楽しめることが極端に減ってしまいます。だからこそ、寝たきりになる人を1人でも多く減らすのと同時に、その期間をできるだけ短くしたいという思いを持って、私たちは活動をしています。

では、なぜ、日本では寝たきりの人がこれほど多いのでしょうか。それは寝たきりに対するあきらめの文化が根付いてしまっているからというのが、私の考えです。

「年が年だから、寝たきりになるのも、しようがないよね」

私たちの施設のご利用者やそのご家族ではなく、特にケアマネジャー(介護保険を導入した際、介護プランなどを立ててくれる専門家)から、こんな言葉をよく聞きます。そこで、私は必ずこう言うのです。

「いや、いや、いや。そんなことはないですよ。90歳の方でも、ある程度の負荷をかけて、ちゃんとトレーニングをすれば、筋力は維持できますから、寝たきりになるとは限りません」

そもそも、寝たきりは病気ではありません。ケガや病気がきっかけで寝たきりが始まることはあっても、寝たきりそのものは病気ではなく、あくまでも衰弱の1つの形態です。

寝たきりの分かれ道

ケガや病気が快方に向かえば、寝たきりを改善することも、その後に寝たきりを予防することも十分に可能だといえます。しかも、それは、単純に年齢で決まるものでもありません。

たとえば鈴木さん(仮名)は、今年の初め、脳卒中を患いました。病状が落ち着いてからも体にまひが残り、2月からの3カ月間は歩こうとしても転倒ばかりしていたそうです。実際、私たちの施設に通い始めた当初は、「こんなんじゃあ、もう俺、歩けないな……」などと、弱音を漏らされることもありました。

しかし、もともとジムで体を動かすことにも慣れており、熱心にトレーニングマシンなどで機能向上訓練を続けた結果、普通に歩くことのできる日がずいぶんと増えたのです。

「こんなんじゃあ俺、歩けないな……」と感じていらっしゃったときに、以前と同じように歩けるようになることをあきらめて、機能向上訓練に取り組まず、外出を控えてばかりいたら……。

鈴木さんは、体のバランス感覚を取り戻すことなく、筋力は衰える一方で、今ごろは普通に歩けるどころか、ほとんどの時間をベッドの上で過ごしていたかもしれません。

現在の鈴木さんの姿を見れば、普通に歩けるようになるか、寝たきりに近づくかの分かれ道で、彼が最善の判断を下されたのだとわかります。

「老化」と「加齢」は別物

寝たきりになるのは、決して「年だから」ではありません。

そればかりでなく、最近では、「年だからといって、必ずしも老化するとは限らない」ということさえ、明らかになりつつあるのです。「筋肉量を測定してみたら俺、30 代並みの筋肉量だって。もう50代なのに、すごくない?」などと、自分の測定結果に気をよくした経験はありませんか?

あるいは、周囲の人から、「私、まだ30代なのに、血管年齢を測ってみたら、60代って言われたんだけど。ひどくない?」といった言葉を聞かされた経験がある方もいるかもしれません。

一言でいうと、前者は老化が進んでおらず、後者は老化が進んでいるということになります。つまり、老化は「可逆的」、わかりやすくいうと、一定に進むとは限らず、場合によっては後戻りすることができるもので、その人の努力次第で進んだり、進まなかったりする現象なのです。

「でも、実際に、年はとりますよね?」

確かに、人は生まれてから亡くなるまで、一定の方向に年をとっていきます。年をとること、「加齢」は「非可逆的」で、いくら努力しても、たとえ1歳でも年が減ることはありません。

つまり、まず、「老化」と「加齢」を別物として考える必要があるのです。「加齢」は避けられない一方で、「老化」は予防したり、進行を遅らせたりすることが可能です。そして、「老化」することを最後まであきらめなければ、回避できる寝たきりもたくさんあると感じています。

上村 理絵

理学療法士

リタポンテ株式会社 取締役

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