やっちまった…64歳「月収28万円」の非正規男性、年金機構からの「緑色の封筒」ポイッと捨てて大後悔
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月11日 10時15分
重要な手続きでもオンライン、重要書類の保管もオンライン……そんな時代だからか、最近はポストの中身をきちんとチェックしていない、という人は多いようです。チラシなどがたまってこれ以上は入らない、という段階になったら、仕方ないとポストを開けて、中身はすべてゴミ箱行き……そこで悲劇が起こる場合も。みていきましょう。
日本年金機構から届いた「緑色の封筒」…いつもの調子で捨ててしまった
大手メーカーで定年退職を迎え、その後、再雇用で働いているという、当時、64歳のおひとり様の男性。
――大企業っていっても、非正規だとそんなもんだよ
という給与額だったといいます。厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、大企業(従業員1,000人以上)64歳・非正規男性の平均給与は、月収で28万7,400万円、賞与も含めた年収は457万7,700円です。“そんなもん”であれば、毎月の給与はこれくらいだったのでしょうか。
65歳まであと3ヵ月ほど。制度的には70歳まで働けるといいますが、65歳を迎えたら契約は更新せず、退社する意向を伝えているといいます。
――65歳になれば年金がもらえるというし、一人だから、もう、そんなにガツガツ働かなくても生きていける
と判断。退職したら、趣味の釣りでもして、のんびり暮らしていこうと考えていたといいます。そして65歳を迎え、無事、現役を引退。思い描いていた通り、悠々自適な老後がスタート。とりあえず、飽きるまで釣りを極めようと、釣り三昧の毎日を送っていました。
そんなある日のこと、元同僚と久々に飲みに出かけたといいます。そこで「年金はもらっているのか?」と質問。
――んっ、もらってないけど
――ずいぶんと余裕があるんだな。俺は、年金がないと暮らしていけない
――んっ⁉ 俺も余裕はないけど、まだ年金はもらってない
――んっ⁉ ならちゃんと手続きしろよ
――手続き⁉
――年金機構から届いていただろう、A4くらいの緑の封筒。それで手続きするんだよ
そんなやり取りがあったといいます。
――緑の封筒……届いていたような
最近、あらゆるものがオンライン化し、ポストに入っているのはチラシばかり。いっぱいになったら取り出して、投函物をサッと見たら、そのままゴミ箱にポイッ、というのがいつものパターンでした。
――緑の封筒、捨ててしまった
「受給権」が発生したからといって「年金の受取り」が始まるわけではない
「老齢基礎年金」は10年以上の受給資格期間があれば65歳から受給でき、「老齢厚生年金」は老齢基礎年金の受給資格期間があり厚生年金保険の被保険者期間があれば65歳から受給できます。また厚生年金保険の被保険者期間が1年以上ある場合は、65歳になるまで特別支給の老齢厚生年金が受給できます。令和6年であれば、64歳になる男性(昭和35年4月2日から昭和36年4月1日生まれ)が対象となり、日本年金機構から「老齢年金請求書(事前送付用)」(たいていA4サイズの緑色の封筒に入っています)が届くはずです。
原則65歳になったら受け取ることができる年金ですが、これは「65歳で年金は受け取る権利(受給権)を得た」ということ。自動的に年金の支給が始まるわけではありません。老齢年金を受け取るためには、請求手続きが必要になります。
通常、受給権が発生する3ヵ月ほど前に、年金を受け取るための必要な年金請求書が手元に送られてきます。必要事項を記入し、受給開始年齢の誕生日の前日以降に、添付書類とともに年金事務所に提出すれば手続きは完了。年金請求書の提出から1~2カ月後に「年金証書・年金決定通知書」が届き、さらに1~2カ月後に年金の支払案内が届き、年金の受け取りがスタートします。このような手続きを経て、年金は受け取れるようになります。逆をいうと、手続きなしに年金は一生受け取ることはできない、ということです。
――やっちまった……年金を受け取れないなんて
顔面蒼白の男性。確かに、年金を受け取れないとなると、お先真っ暗になるのも仕方がありません。しかし大丈夫。「年金請求書(事前送付用)」は再発行はできませんが、請求書はダウンロードでき、年金事務所にも備えがあります。
気をつけたいのは、年金には5年の時効があること。それを超えると年金を受け取る権利は消滅してしまいます。たとえば71歳で年金の請求手続きを行ったとしたら、65~66歳で受け取るはずだった1年分の年金は受け取ることはできなくなります。
郵送物にあまり目を通さなくなった昨今。年金に関しては、重要なお知らせが郵送で届くことも多いようです。日本年金機構からのお届け物は、とりあえず、大切に保管しておくほうが何かと安全といえるでしょう。
[参考資料]
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