“日本では買えない日本車”が盛りだくさん!バンコクモーターショー2018練りある記

&GP / 2018年4月16日 19時0分

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“日本では買えない日本車”が盛りだくさん!バンコクモーターショー2018練りある記

日本から飛行機で7時間。到着したスワンナプーム国際空港は、タイ・バンコクの玄関口だ。

日本ではあまり知られていないことながら、タイは“アジアのデトロイト”を自称するほど自動車生産が盛んな国。今回は、そんなタイの首都で開かれた「バンコクモーターショー2018」の模様をお伝えしたい。

■タイでしか買えない特別な「GT-R」もデビュー!

タイは、日本の自動車メーカーにとっても重要な生産拠点。トヨタ、ホンダ、日産、三菱、スバル、スズキ、そして、いすゞが大規模な工場を設けていて、タイ国内の需要をまかなうだけでなく、輸出拠点としても利用している。

例えば三菱は、生産国別に見ると、実はタイからの輸出が最も利益を挙げている、といえば、その規模の大きさが理解できるだろう。一方ホンダは、最新鋭の設備を備えた4輪車製造工場をタイに展開。そこでは、数人がグループとなり、複数の工程を受け持ちながら1台のクルマに部品を組み付けていく“セル生産方式”を実験的に導入し「フィット」や「シビック」を生産している。この手法は、4輪の量産車生産においては世界唯一の方法で、ホンダがいかにタイを重要な生産拠点と位置づけているかがうかがえる。

また、日本以外のメーカーでも、ゼネラルモーターズやフォード、タタ、ヒュンダイ、MG(中国上海汽車)、メルセデス・ベンツなどが現地工場を開設。その結果、2017年のタイ国内の総生産台数は、約200万台にも上っている。

そういったデータを踏まえた上で訪れたバンコクモーターショー2018。まず驚かされたのは、その規模の大きさだった。

といっても、会場ホールの面積は、東京モーターショーと比べて決して広いわけではない。しかし、ここ数年の来場者数を見ると、160〜170万人と“とても”多いことに驚く。これは、東京モーターショーの倍以上! さらに、デトロイト、ジュネーブ、パリ、フランクフルトといった歴史あるメジャーなショーや、振興の北京や上海といったショーに比べても多い。バンコクモーターショーは今や、世界一の来場者数を誇るショーなのだ。

バンコクモーターショー2018の開催期間は、公式には3月27日から4月8日までの約2週間。開場時間が正午から夜10時までという独特の“夜型スタイル”で、会社勤めの人が平日に訪れやすいよう配慮されている。ちなみに、ショーの初日には、報道関係者を対象にしたプレスデーではなく、優良顧客に向けての内覧会的な、非公式扱いの“VIPデー”が開かれるというのは常識外だ。

東南アジアのモーターショーというと「どこかアカ抜けなくて質素に違いない」…そう考える人も多いかもしれない。だが、それは大きな間違いだ。バンコクモーターショー2018のホール内に建築されたブースは、当然ながら世界レベル。写真で見る限り、他のメジャーショーと見分けがつかないだろう。

会場内には、タイに進出している日本メーカーはもちろんのこと、現地のプレミアムカー市場をけん引するメルセデス・ベンツをはじめ、BMW、アウディ、ポルシェなどがブースを出展していた。

そして、ロールスロイスやジャガー&ランドローバー、アストンマーティン、マセラティといった、東京モーターショー2017に出展していなかったプレミアムブランドも、しっかりブースを出している。はっきりいって、日本人としてはショックな光景だったが、これがアジアの真実。タイのプレミアムカーマーケットは、今はまだ日本よりも小さいが、これから発展が見込まれるということなのだろう。

そんな背景もあってか、日産自動車はバンコクモーターショー2018で「GT-R」の正規導入を発表したが、その価格は1350万バーツ。日本円にしてなんと約4600万円なのだから、もはや笑うしかない(日本人で良かった!)。もちろんこれは、日産自動車が決して不当に利益を上げようとしているわけではなく、関税や贅沢税(物品税)が高い影響で、輸入車、タイでは特に、高額モデルの価格が跳ね上がってしまうのだ。同様に、会場に展示されていたポルシェ「911 GT2 RS」は日本円換算で約1億2000万円! 会場で最も高価だったのは、ロールスロイスの「ファントム」で同約2億円!! だった。

ちなみに、今回タイでの正規販売が始まったGT-Rは、現地に合わせたチューニングを受けた仕様で、ガソリン事情のためパワーは15馬力ほど落ちているが、荒れた路面に合わせて専用のサスペンションを新開発。正規導入に当たってはメンテナンス網も整備したという。台数は多くは売れないだろうが、タイは“そこまでやる価値のある”マーケットというわけだ。

一方、日本人にとって興味深いのは「日本国内では売られていない日本車」にお目にかかれること。タイは税金の関係でピックアップトラックの人気が高いのだが、日本メーカーもトヨタの「ハイラックス」だけでなく、日産は「ナバラ」、三菱は「トライトン」、いすゞは「D-MAX」、そしてマツダは「BT-50」を、現地で製造し販売している。

さらに、三菱「ミラージュ」やマツダ「デミオ(現地名「2」)」のセダンといった、日本市場には導入されていないボディバリエーションのほか、トヨタの「ヤリス」(欧州仕様のヤリスとは全く別物)や「ヴィオス」、「フォーチュナー」といったアジア専用モデルが存在するのも面白い。

さて、そんな大盛況のバンコクモーターショー2018の会場で、ひとり人込みに揉まれながら考えた。タイの人々にあって、日本を始めとする自動車先進国の人々にないものとは、一体なんなのか? と。

それはやはり“クルマへの情熱”にほかならない。タイの多くの人々にとって、クルマはやっと手が届き始めた存在だけど、まだまだ憧れの対象。なおかつ、見栄っ張りで、経済発展に伴って「明日は今日よりいい暮らしができる」と実感している人たちにとって、クルマへの情熱は生活水準が上がったことの証でもあるのだ。だから会場には、他国のモーターショーでは感じられない、人々の熱気が渦巻いているのである。

モノとどう接するか、クルマとどう向き合うか…。ひとりのクルマ好きとしては、クルマに情熱を抱ける人が多いということは、素直にうらやましいと思う。そして同時に、クルマの情報を伝える自分たちも、クルマへの憧れをいつまでも忘れてはいけないと改めて痛感させられた、バンコクモーターショー2018だった。

(文&写真/工藤貴宏)

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