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【アウディ A8試乗】第4世代もハイテク満載!自動運転の標準化を見据える意欲的な旗艦

&GP / 2019年2月23日 19時0分

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【アウディ A8試乗】第4世代もハイテク満載!自動運転の標準化を見据える意欲的な旗艦

メルセデス・ベンツ「Sクラス」やBMW「7シリーズ」、そして、レクサス「LS」といったプレミアムブランドの頂点に君臨するフラッグシップセダン。いずれも“ブランドの顔”だけあって、最高のプレミアム感と快適性を実現するとともに、最新技術が惜しげもなく投入されるなど、まさにメーカーの威信をかけたクルマ作りが行われている。

例えばメルセデス・ベンツは、現行Sクラスのモデルチェンジに際し、最新の先進安全装備を投入。以降、「Eクラス」や「Cクラス」といった“下位モデル”の進化に際しても、“Sクラスと同等の先進安全性能”を波及させることで、ブランド内にヒエラルキーを構築している。

かつては、車体の大きさやエンジンパワー、そして、装備の豪華さなどが、フラッグシップセダンとそれ以外とを分ける要素だったが、近年はそうした状況に少し変化が。旗艦モデルのハイテク化と運転補助機能の高度化をどこまで進められるかが、ブランド内の他モデルとの差別化になると同時に、ライバルとの競争でアドバンテージを得るための武器になりつつある。

■1基当たり数十万円のレーザースキャナーを搭載

プレミアムカーブランドといえば、メルセデス・ベンツ、BMW、アウディの“ドイツ御三家”を連想する人は多いだろう。そのうちアウディは、Sクラスや7シリーズのライバルであるフラッグシップセダン「A8」をフルモデルチェンジし、2018年秋から日本市場でも展開をスタートした。

フレームにアルミパネルを貼りつける“ASF(アウディスペースフレーム)”と呼ばれる構造を採用して軽量化を図ったり、後輪駆動にこだわるライバルを横目に、独自の4WDシステム“クワトロ”を採用したりと、A8は1994年に登場した初代から、独創的なクルマ作りで注目を集めてきた。いつの時代も、アウディが持てる先進技術をふんだんに詰め込んできたことから、アウディの旗艦モデルはまさに“先進装備のデパート”といった存在だ。

では、第4世代となる新型A8のポイントは、どこにあるのか? それは、最新鋭かつ、市販車としては世界最高峰の運転補助システムであることに疑いの余地はない。

新しいA8は、5つのミリ波レーダー、5つのカメラセンサー、12個の超音波センサーなど、イマドキの先進安全装備に不可欠なセンサー類を23個も搭載。中でも世界中を驚かせたのが、量産車としては世界初搭載となるレーザースキャナー(フロントに1基搭載)の搭載だ。“LiDAR(Light Detection and Ranging/光による検知と測距)”とも呼ばれるレーザースキャナーは、赤外線を投射することで、対象物までの距離やその形状を3次元で把握。道路や先行車の状況など、クルマの前方がどんな状態にあるかを、正確に認識する。

このレーザースキャナー、1基当たりのコストは数十万円ともいわれるが、それを世界で初めて市販車に組み込んだアウディの狙いは、とても明確。彼らが目指すのは、量産車世界初の“自動運転”の実現である。

世界的に自動運転車は、そのレベルによって5段階に区分されていて、最高段階の“レベル5”では、場所の制約なしにシステムがすべての運転操作を行う。その基準に照らし合わせると、A8が実現するのは“レベル3”。特定の場所では、システムがすべての運転操作を行える状態にあり、緊急時においてはドライバーが操作する、というもの。つまり、高速道路や自動車専用道においては、ドライバーではなくクルマ側が、(可能な限り)運転に関するすべての操作を行えるのだ。

いくつかの制約があるとはいえ、一般的に見れば、新型A8は自動運転車そのもの、といっていいレベルにある。それを可能にする高度な技術を搭載した新型は、まさに、子どもの頃に思い描いた未来の世界が現実になったかのようである。

■車内はまるで最新航空機のコックピット

新型A8の先進性は、自動運転時代を見据えたハイテクメカだけにとどまらない。

例えば、コックピットに備わる10.1インチのメインモニターと、空調設定や手書き文字入力などに対応する8.6インチのサブモニターとを組み合わせたデュアルディスプレイは、目にした瞬間、強烈な印象を与えてくれる。

おまけに、ドライバーの目の前には、“バーチャルコックピット”と呼ばれる12.3インチのフルカラー液晶ディスプレイが備わり、車内はまるで、最新航空機のコックピットやSF映画に登場する宇宙船のようなイメージだ。

また、エンジンを始動させた際、乗員を迎えてくれるかのようにパネルが回転し、エアコン吹き出し口が出現するというギミックは、実用性だけで見ればムダ以外の何物でもないが、実際にその精緻な動きを目の当たりにすると、「こんなところにまで未来感を感じさせる演出が!」と、思わずうならされてしまう。

新型A8のパワーユニットは、340馬力/51.0kgf-mを発生する3リッターV6直噴ターボと、460馬力/67.3kgf-mを発生する4リッターV8直噴ツインターボの2種類。いずれもトランスミッションは8速ATで、48Vのリチウムイオンバッテリーを核とするマイルドハイブリッド機構が組み合わされる。

グレードは、V6ターボに「A8 55 TFSIクワトロ」を、V8ツインターボには「A8 60 TFSIクワトロ」と、そのボディを13cm伸ばしてリアシートの足下を広げた「A8L 60 TFSIクワトロ」をラインナップする。グレード名から分かる通り、駆動方式はいずれもクワトロ=フルタイム4WDだ。

いずれのグレードも、車両重量は2トンを超えるが、340馬力のV6ターボエンジンでもかなり俊足。「強烈な加速を味わえる!」とまではいかないものの、リニアに速度が増し、気づけばかなりの車速に達している、といった類いの加速フィールだ。

一方のV8ツインターボは、67.3kgf-mという太いトルクの恩恵で、その気になれば暴力的な加速も味わえる。それは、過剰な加速といっても過言ではないほどで、ドライビングを楽しみたい向きには、積極的にV8エンジン搭載車をお勧めしたい。

また、ボディ剛性やサスペンションなどに起因するドライブフィールは、“大きな車体とは思えないほど身軽な動き”という初代A8の感覚が、新型にも受け継がれている。それは、ボディやサスペンションが緻密に組み上げられているからこそ実感できる感覚であり、ドライバーの操作に対するリニアな反応は、とても好印象だ。

その上、今回の試乗車は、街中での扱いやすさにおいてライバルを凌駕していた。その要因は、リアタイヤが最大で5度曲がる4輪操舵システム“ダイナミックオールホイールステアリング”(オプション)の効果だ。後輪の操舵具合は、外から目で見てもはっきり分かるほどで、これにより、Sクラスや7シリーズと比べて40〜50cmも小さい、5.3m(ロング仕様は6.0m)という最小回転半径を実現している。

■新型A8の先進技術を活かすも殺すも法整備次第?

このクラスの王者であるSクラスは、従来からの圧倒的な豪華装備と世界最高峰の先進安全装備に加え、近年は走りの味つけに爽快感を持たせている。また、最大の対抗馬である7シリーズは、サーキットでも通用する優れた走行性能と、圧倒的なまでの走る歓びに、一貫してこだわり続ける。それらライバルに対し、新型A8は、世界をリードする自動運転技術で勝負を挑んできたのである。

ただし残念なのは、せっかくA8に搭載されている最新性の自動運転技術も、法律的にレベル3の適用が認められていないため、現時点では、日本やドイツはもちろん、世界のどの国においても使えないということ。ドイツではそう遠くない将来、使用が解禁されるとの見方もあるが、ここ日本では法整備の観点から、まだまだ使用可能になるまで時間を要しそうなのだ。

とはいえ新型A8は、“アダプティブドライブアシスト”といった最新性のドライバーサポート機能を、現段階でもフル活用できるモデルだ。高速道路上ではアクセル/ブレーキ操作に加え、ハンドル操作を支援してくれるため、実質的には、ハンドルに手を添えているだけで自動運転に近い状態となる。それにより、乗員は快適で疲労感の少ない移動を楽しめるわけだし、さらには、自動運転車の近未来像もしっかり感じ取ることができる。こうした先進性に魅力を感じられる人にとって、新型A8はとても魅力的な1台となるだろう。

<SPECIFICATIONS>
☆55 TFSIクワトロ(青)
ボディサイズ:L5170×W1945×H1470mm
車重:2040kg
駆動方式:4WD
エンジン:2994cc V型6気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:8速AT
最高出力:340馬力/5000〜6400回転
最大トルク:51.0kgf-m/1370~4500回転
価格:1140万円〜

<SPECIFICATIONS>
☆60 TFSIクワトロ(黒)
ボディサイズ:L5170×W1945×H1470mm
車重:2110kg
駆動方式:4WD
エンジン:3996cc V型8気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:8速AT
最高出力:460馬力/5500回転
最大トルク:67.3kgf-m/1800~4500回転
価格:1510万円〜

(文/工藤貴宏 写真/&GP編集部)

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