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世界が愛した“ちっちゃいクルマ”「クラシックMINI」の変遷を振り返る

&GP / 2020年6月12日 22時0分

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世界が愛した“ちっちゃいクルマ”「クラシックMINI」の変遷を振り返る

BMWのブランドであるミニ(MINI)は、2019年の世界新車販売台数が34万6639台。フォルクスワーゲンの1097万4600台やトヨタの1074万2122台などと比べればかなり少ないですが、日本自動車輸入組合(JAIA)の統計『外国メーカー車モデル別新車登録台数順位の推移(暦年)』を見ると、2016年から2019年まで、日本でもっとも売れた輸入車に輝いています。

思えばBMWミニ以前の“クラシックミニ(BMC版ミニ)” 時代から日本人はミニというモデルに親しみを持って接してきました。クラシックミニは現在でもたくさんのファンがいて、専門店も多く存在します。

今回はそんなクラシックミニの歴史を振り返ってみましょう。

 

■1959年、最初のミニが登場!

ミニが誕生した1950年代は、スエズ危機による石油供給の悪化により、自動車メーカーは少ない燃料で走れるクルマの開発を迫られていました。そのため当時のイギリスでは2人乗りのクルマが主流になっていました。

オースチン・モータースとナッツフィールド・オーガナイゼーションが合併して1952年に誕生したブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)は、大人4人が乗れる小型車を開発。それが1959年に登場したミニです。

BMCは傘下にあるオースチンとモーリスから、オースチン・セブン、モーリス・ミニ・マイナーを発売。当時、ミニは主に上流階級から支持されたと言います

初期のミニは1959年〜1967年までがMk I、1967年〜1969年までがMk II、1969年〜1980年までがMk IIIと呼ばれています。

ミニの名を世界に知らしめたのは1961年に登場したミニクーパーでしょう。1959年、1960年とF1のコンストラクターズチャンピオンに輝いたクーパー・カー・カンパニーのジョン・クーパーはミニの性能に惚れ込み、BMCにスポーツモデルの製造を提案。オリジナルの848ccエンジンをロングストローク化で997ccにまで拡大したのをはじめ、さまざまなチューニングを施します。そして、1963年には1071ccエンジン搭載のクーパーSが登場。1964年にはクーパーSの排気量が1275ccにまで拡大されました。

このミニクーパーSが1960年代のモータースポーツで大活躍。1964年から1967年までの間に3度優勝を果たしたモンテカルロラリーは、現在でもファンの間で語り草になっています。

クーパー、クーパーS、そしてジョン・クーパーの名が現代のミニにも受け継がれていることはみなさんご承知のとおりです。

1967年、ミニはMk IIにスイッチ。グリルが六角形に変更され、テールライトが大きくなりました。また、リアウインドウも大型化されています。

また、この時期にBMCがレイランドグループと合併。ブリティッシュ・レイランド・モーターコーポレーション(BLMC)となりました。

そして1969年にミニはMk IIIへと進化。ドアウィンドウがスライド式から巻き上げ式に変更され、ドアオープナーの機構も変更されています。エンジンは848cc、998ccがあります。

1982年には、BLMCでミニを製造する部門が独立して、オースチン・ローバーが誕生しました。そしてこの年に上位グレードとなるメイフェアが発売されます。1984年には25周年記念モデルが登場しています。また、ミニといえば小さな10インチホイールがアイコンとなっていましたが、1984年から12インチに変更されました。

1989年、オースチン・ローバーがローバーカーズに。そして、1990年に限定車としてローバーミニクーパー1.3が限定販売されました。

ローバー時代のミニは、1992年までがキャブレター仕様、その後はインジェクション仕様となり、エンジンもすべて1.3Lになりました。

クラシックミニはその後もさまざまな限定車が登場。安全性なども高めながら2000年まで製造されました。ミニがここまで長く製造されたのは、日本のファンが支えていたからとも言われています。

 

■オリジナルとは全く違う雰囲気を楽しめる派生モデル

クラシックミニには、長い歴史の中でいくつかの派生車が登場しました。どれもその希少性から高値で取引されています。

 

▼モーリス・ミニ・トラベラー/オースチン・ミニ・カントリーマン

ミニのエステートモデルで、上級グレードに付けられたサイドの木目フレームが特徴的。広い荷室が与えられ、リアドアは観音開きになります。1960年から1969年まで生産されました。

 

▼ミニクラブマン

Mk III時代に登場した、ミニの顔違いのモデルがクラブマン。ベーシックなクラブマン、トラベラーの後継となるクラブマンエステート、クーパーに変わるモデルとして登場した1275GTと、バリエーションも豊富。

異なるデザインで幅広いユーザー獲得と狙ったモデルですが、結果的にはオリジナルデザインのミニが残ることになりました。

 

▼ミニモーク

ミニをベースにした軍用モデルとして開発されたミニモーク。しかし軍用車には採用されず、1964年に市販車として登場しました。

最初はイギリスで製造され、1966年から1981年にはオーストラリアで製造。最終的にポルトガルで1990年代前半まで製造されました。

 

▼ミニマーコス

1965年にミニのコンポーネンツを使ったキットカーとして販売されたミニマーコス。ミニの面影を感じさせないレーシーなルックスは独特のオーラを漂わせています。1966年にはル・マン24時間レースに参戦。英国車で唯一の完走を果たしたのは有名な話です。

 

▼ミニカブリオレ

1993年に登場したミニカブリオレは、オープンにしたときに幌がお尻部分にドンと乗るのが特徴。この形は、BMWが手がけるミニコンバーチブルにも受け継がれています。ミニ同様4人乗りなので実用性も十分!

 

■今、クラシックミニを手に入れるなら?

クラシックミニの中古車相場は全体的に上昇傾向。特にキャブレター時代のミニは人気があり、初期のオースチンやモーリスは400万〜500万円の価格がついている中古車も珍しくありません。

これらは相当なマニアでなければなかなか手が出せない代物。初めてクラシックミニを選ぶなら、ローバーミニで探すのがいいでしょう。ローバーミニならキャブ仕様でも100万円前後の中古車が見つかります。

キャブとインジェクション、どちらを選ぶかは好みが分かれるところ。初めてのミニならインジェクションの方が安心して乗れるでしょう。1997年以降のモデルならエアバッグなども備わります。

クラシックミニは最終型でも新車から20年経過しています。購入時は後のメンテナンスやカスタムを含め、安心して任せられるショップを探すことが不可欠。購入前はスタッフとじっくり話し、この人なら任せられると思える人がいる販売店で購入することをおすすめします。

 

文/高橋 満<ブリッジマン>

高橋 満|求人誌、中古車雑誌の編集部を経て、1999年からフリーの編集者/ライターとして活動。自動車、音楽、アウトドアなどジャンルを問わず執筆。人物インタビューも得意としている。コンテンツ制作会社「ブリッジマン」の代表として、さまざまな企業のPRも担当。

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