赤いシートが目に鮮やか!「マツダ6ブラックトーンエディション」は特別感が満点
&GP / 2021年4月20日 19時0分
赤いシートが目に鮮やか!「マツダ6ブラックトーンエディション」は特別感が満点
現在マツダは、「マツダ2」、「マツダ6」、「CX-5」、「CX-8」のラインナップに、黒のエクステリアパーツや赤いアクセントの効いたインテリアでスポーティさを演出した特別仕様車「ブラックトーンエディション」を設定している。
中でも注目は、赤いレザーシートが目にも鮮やかなマツダ6。今回はこのモデルをテキストに、ブラックトーンエディションの魅力に迫る。
■素材感まで考慮した黒の使い分けが心にくい
マツダ6のブラックトーンエディションは、2リッター自然吸気ガソリンエンジン車、2.5リッターのガソリンターボエンジン車、そして2.2リッターのクリーンターボディーゼル車のそれぞれに設定。ボディスタイルは、セダンとワゴンから選択できる。ベースモデルは「プロアクティブ」というミドルグレードだが、オリジナルのパーツ類やカラーリングで華やかさや精悍さをプラスしている。
ブラックトーンエディションのエクステリアでは、ドアミラーカバーとホイールがブラック仕上げに。ドアミラーカバーはグロス(つや消し)ブラックとなる一方、19インチのアルミホイールにはブラックメタリック塗装が施される。単に黒で統一するだけでなく、素材感を考慮して色合いを使い分けている辺りが心にくい。
インテリアは、ブラックトーンエディションというだけあって黒基調かと思いきや、レッドを差し色のように配しているのが特徴だ。しかも、スムースレザー製の赤いシートは渋めのトーン。大人っぽいというかツヤっぽいというか、とにかく粋な取り合わせだ。
加えて、シートの中央部分にはグレーのクロスステッチが入り、これがいいアクセントになっている。また、インパネやドアトリムのデコレーションパネルは、ブラックのヘアライン仕上げが施される。
現行のマツダ6は、「アテンザ」の車名で2012年11月にデビュー。2019年7月の一部改良に合わせて、車名をグローバル展開しているマツダ6に改めた。ブラックトーンエディションの登場に合わせて、マツダ6自体にも商品改良が施されており、全グレードでポリメタルグレーメタリックという印象的なボディカラーを選べるようになった。
そのため、ポリメタルグレーメタリックのマツダ6は、それだけで「あ、最新モデルだ!」と周囲にアピールできる。その上、黒のドアミラーカバーとアルミホイールを備えたブラックトーンエディションなら、「いやいや、それだけじゃないんです」と、ほかと違いを畳みかけるようにアピールできる。
加えて、室内をのぞき込めば、渋いレッドのレザーシートが嫌でも目に入る。ベースモデルとなったプロアクティブは、黒い布シートが標準。上級グレードの「Lパッケージ」はナッパレザー製のシート表皮が標準だが、そのカラーはピュアホワイト、もしくはオリエンタルブラウンからの選択となる。
つまり、ブラックトーンエディションの赤いシート表皮は、他のグレードでは選択できず、Lパッケージのホワイト/ブラウンのシートでも、センター部にアクセントカラーのクロスステッチは入っていない。それだけに、ブラックトーンエディションの渋いレッドのスムースレザーシートは特別な印象を受ける。
■熟成して味わい深い乗り味となったマツダ6
そんな特別仕立てのマツダ6 ブラックトーンエディションだが、試乗する直前まで開発年度の新しい「CX-30」をドライブしていたこともあり、クルマ全体の動きが少々ユルく感じられた。CX-30に乗っている時は意識しなかったが、逆にいえばCX-30は、マツダ6に比べてシャキッとしているといえる。いずれにしてもこの両車、走りのキャラが大きく異なっていることに驚いた。
マツダ6の走りが“ユルい”という表現は、少々誤解を与えるかもしれない。いい換えるなら、まろやかとか円熟味が増したという表現が正しいだろう。若くて刺激が強めに感じるワインのような乗り味がCX-30、熟成が進んで味わい深い乗り味が、デビューから9年目を迎えて進化を重ねた最新のマツダ6という印象だ。
そのためマツダ6は、街中をキビキビ走るよりも、高速道路をゆったり走るのに向いているかもしれない。試乗車は、“スカイアクティブD 2.2”と呼ばれる2.2リッターのクリーンターボエンジンを搭載していたが、ロングツーリングに向いているという視点から見れば、このエンジンがブラックトーンエディションのベストチョイスということになる。
スカイアクティブD 2.2の最高出力は190馬力/4500回転、最大トルクはなんと45.9kgf-m/2000回転を発生する。“スカイアクティブG 2.5T”と名づけられた2.5リッターのガソリンターボエンジンも42.8kgf-m/2000回転という強大なトルクを発生するが、燃費や燃料代といったランニングコストを考慮すれば、軍配はディーゼルエンジンに上がる。気持ち良く走れる上に燃費もいいのがマツダ製ディーゼルの持ち味でもある。
とはいえ、ブラックトーンエディションのスポーティな雰囲気を考えると、ハイパワーなスカイアクティブG 2.5Tの魅力も捨てがたい。スカイアクティブD 2.2はディーゼルエンジンとしては高回転域まで気持ち良く回るが、それでもスカイアクティブG 2.5Tのような、よくできたガソリンエンジンには敵わない。内外観のスポーティなムードと同様、エンジンにもスポーティさを求めるのか。それとも、スポーティな内外観に力強さと燃費を併せ持つエンジンを組み合わせるのか。なかなか選択が難しい。
エクステリアとインテリアにおいて、“黒×赤”という色合わせの妙を施したのはマツダだが、スポーティな内外装とキャラクターの異なるエンジンのコーディネートはユーザーに委ねられている。存分に楽しみながら選びたい。
<SPECIFICATIONS>
☆ワゴン XD ブラックトーンエディション(4WD/AT)
ボディサイズ:L4805×W1840×H1480mm
車重:1690kg
駆動方式:4WD
エンジン:2188cc 直列4気筒 DOHC ディーゼル ターボ
トランスミッション:6AT
最高出力:190馬力/4500回転
最大トルク:45.9kgf-m/2000回転
価格:394万3500円
>>「マツダ6」
文/世良耕太
世良耕太|出版社で編集者・ライターとして活動後、独立。クルマやモータースポーツ、自動車テクノロジーの取材で世界を駆け回る。多くの取材を通して得た、テクノロジーへの高い理解度が売り。クルマ関連の話題にとどまらず、建築やウイスキーなど興味は多岐にわたる。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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